ふじ

種子・藤瘤を利用

フジ(藤)は、『古事記』の時代から日本人に親しまれてきたマメ科のつる性樹木です。 フジには、本州、四国、九州の山野に自生する、つるが左巻きのヤマフジやノフジと、庭園に植えられている右巻きのノダフジがあります。4~5月に蝶形の花を房状に付けます。花の色は、濃紺紫色、紫色、紅色、淡紅色、白色など様々で、一重咲き、八重咲き、緋ちりめん咲きなど種類も豊富です。垂れ下がった花房は30cmから1mくらいのものまであります。夏に豆の莢を思わせる30cmくらいの実を結びます。莢の中に円形の種子ができます。

『古事記』では、春山の霞壮夫(ハルヤマノカスミオトコ)が伊豆志袁登売(イズシオトメ)に求婚する行で、フジにまつわるエピソードが出てきます。伊豆志袁登売は数多の求婚者を退けておりました。春山の霞壮夫は、衣装から沓に至るまでフジを縫いつけ、フジの弓矢を携えて、まるでフジの花のように自分を飾り立てて伊豆志袁登売の前に現れます。不思議に思って近づいた伊豆志袁登売は、そのまま春山の霞壮夫の求婚を受け入れます。この時代から、日本人は藤の花を愛でていたことが伺えます。

万葉の時代になると、庭園にフジが植えられ、生活にもフジを利用するようになります。早春に採取したフジツルの皮を木灰などで煮て細く裂き、糸を撚って、生地を織ったり、漁網に編んだり、あるいは吊り橋などの材料に利用しました。若葉や花は食用にも用いられていたようです。

長唄、日舞、歌舞伎では『藤娘』という演目があり、日本人形や羽子板にもモチーフとして使われています。また着物の柄としても繁用されます。

 フジは漢名では紫藤を当てますが、これは本来シナフジのことで、品種的に異なります。また「藤」自体、紫藤の略字とされ、どちらも適当とはいえません。

薬用としては、フジの種子とフジコブを用います。フジの種子は7~8月頃、莢ごと採取して日干しにした後、中の種子を集めます。フジコブとは、大腸菌の仲間であるフジのえいりゅう病菌がつるに寄生し、コブを形成したもので、老木に多く見られます。老木に傷を付けておくとフジコブができやすいといわれます。フジコブは普通地上部に見つけることができますが、地中に埋まっている場合もあります。採取は必要時に行い、水洗いして日干しにします。

フジの樹皮には、イソフラボン配糖体のウェスチン(アフロモジン-β-d-グルコシド)が含まれます。

種子は下剤として、一回に1~3gを水300ccで半量になるまで煎じたものを、空腹時に服用するとよいでしょう。

口内炎扁桃炎歯痛には、フジコブ10gを煎じたものでうがいするとよいでしょう。

またフジコブは、抗ガン作用があるとされ、一日10gを粉末にして2~3回に分けて服用するとよいといわれますが、医学的根拠が曖昧ですので、服用には医師に相談して下さい

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