| はす |
|
|
|
ハス(蓮)は、仏教発祥の地であるインドが原産と推測されるスイレン科の多年草で、イラン、インド、中国、熱滞アジア各地、オーストラリアなどに広く分布します。英語ではロータスといいますが、北米では黄色い花が咲くキバナハスが主流です。日本には、かなり古い時代に、中国を経てもたらされました。北海道では第三紀層からハスの葉の化石が、また京都周辺では洪積層からハスの実の化石が発見されました。有名な大賀蓮は古代蓮とも呼ばれ、2000年以上前の地層から出土した種が発芽し、現代に蘇ったもので、千葉や埼玉で開花を楽しむことができます。現在栽培されているハスに比べると全体的にやや小振りです。
ハスの開花期は7~8月頃ですが、ハスは早朝朝日を浴びると開花し、午後3時頃には閉じる特徴があるため、花を楽しむには午前中から午後早い時間に掛けてがお勧めです。朝開いて午後閉じるのを4日間繰り返した後、散ってゆきます。観賞用のハスは、淡紅色だけでなく様々で、咲き方も一重咲き、八重咲きと豊富です。ハスの花は花茎の先に付き、花が終わると蜂の巣に似た果実が実ります。この果実の形から、古くはハスのことをハチスといいました。 また、ハスは仏教では蓮華(れんげ)と呼ばれ、泥の中にあっても美しい花を咲かせることから、仏の慈悲や智慧の象徴とされ、如来像の台座などに繁用されています。死後に極楽浄土で、同じ蓮華の上に身を託す「一蓮托生」という思想もあります。お盆の頃には、仏壇にハスの花を供えたり、供物の敷物としてハスの葉を用いる地方もあります。 日本では主に根茎である蓮根を食用として用いますが、アジア諸国では、果実、葉、花弁、花托なども食用として用います。葉や花弁はお茶にしたり、食材を包んで蒸したりします。 漢方では、根茎、果実、葉などを薬用に用います。根茎の節の部分を藕節(ぐうせつ)、果実を蓮子(れんじ)あるいは蓮肉(れんにく)、果実の中にある胚芽を蓮子心(れんししん)、花托を蓮房(れんぼう)、葉を荷葉(かよう)あるいは蓮葉(れんよう)といい、それぞれはたらきが異なります。果実は、膀胱炎などに用いる清心蓮子飲(せいしんれんじいん)や、胃腸虚弱や軟便に用いる参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん・じんれんびゃくじゅつさん)などに使用されます。 現在我が国では、自生のハスは確認されていないので、根茎は蓮根を、蓮肉は蓮の実を、葉は蓮の葉を購入しましょう。採取する場合は、必ず持ち主の許可を取りましょう。蓮の実は秋に採取し、皮を取り除いて蒸し、陰干しにします。胚芽は乾燥した蓮の実を割って、中にある緑黄色~緑色の棒状のものを取り出します。蓮の葉は夏に採取し、葉柄を取り除いて日干しにし、小さく刻んで保存します。 根茎には、アスパラギン酸やチロシンなどのアミノ酸が、果実にはネルンビン、ロツジン、アノナイン、リインジニン、プロヌチフェリンなどのアルカロイドが含まれます。 根茎の節の部分には止血のはたらきがあります。鼻血などの出血には、蓮根の節の部分をすり下ろした絞り汁を飲むとよいでしょう。 慢性の胃腸カタルや蟹の毒消し、二日酔いなどには、蓮根の絞り汁を飲むとよいといわれます。 滋養・強壮・胃腸虚弱の下痢止めには、よく乾燥した蓮の実15~20粒をフライパンでよく炒って、3回に分けて食べるとよいでしょう。但し、細菌性の下痢や食あたりの下痢の場合は悪化することがあるので注意しましょう。 暑気払いや暑気あたりには、蓮の葉をお茶代わりにするとよいでしょう。 |