くすのき

茎葉を利用 樟脳の原料

クスノキ(樟)は、日本では関東南部から九州にかけて、また台湾や中国の南シナ海沿岸にも広く分布するクスノキ科の常緑の高木です。樟脳の原料となる製油成分を含むため、独特の芳香があって防虫効果に優れ、巨木になることもしばしばで、神聖な木として寺社の境内などにもよく植えられています。材質も良いので、仏像などにも利用されます。公園などでも大きく育ち、暑い季節には涼やかな木陰を提供してくれます。画像のクスノキは私の通っていた小学校のもので、その頃から大きかったのですが、ここを巣立ってゆく小学生同様ますます大きく成長しています。各地には幹周が20mを超える巨木もあり、天然記念物に指定されているものもあります。

クスノキの葉は薄い革質で卵状楕円形をしており、3本葉脈がくっきりと浮かび上がります。4月頃、若葉が伸びてくると、古い葉は散ってゆきます。このころから6月にかけて、6弁の小いさな花を無数に付けますが、あまり見栄えがしないので注意してないと気づかないこともあります。11月頃に、1cm弱の黒色で球形をした実を付けます。

『本草和名』では「楠」をクスノキとしていますが、これは誤りで、中国産のタブノキ属を指します。正しくは「樟」と書きます。クスノキは単にクスとも呼ばれます。生薬名は樟木(しょうぼく)といいます。

衣類などの防虫剤としてとしては有名ですが、江戸時代には蚊遣火としても用いられたようです。通常の蚊遣火と異なり、もくもくと煙が立ちこめ、家中煙に包まれたようですが、自然養生にもなるとした記録が残っています。またプラスチックが登場するまでは、樟脳からセルロイドも生産されていました。

薬用としては、茎葉を用います。選定した枝葉をもらってきて、茎葉を陰干しにします。

樟脳以外にも、シネオール、ピネン、サフロールなどの精油成分を含み、比較的低温で抽出した精油成分を片脳油(白油)といい、防臭剤に用います。

樟脳は、強心剤皮膚病の外用薬としても用いられます。打撲には、黄柏末:樟脳=100:2の割合で混ぜたものを卵白で練って湿布するとよいでしょう。

冷え性には、茎葉を浴剤にするとよいでしょう。

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