| にっけい |
|
|
|
ニッケイ(肉桂)は、ベトナムや中国南部原産のクスノキ科常緑樹です。日本には8世紀前半に生薬としてもたらされ、正倉院の御物にも見ることができます。江戸時代に樹木として、台湾、沖縄、鹿児島を経てもたらされました。日本国内でも、暖地の鹿児島、高知、和歌山などで栽培されていましたが、香料としても、生薬としても、輸入物の方が質が高く、最近では栽培種が野生化している所も少なくありません。小豆島の実家にも、私が生まれる前から庭に大きな肉桂が1本あり、「ニッキの木」といって親しんできました。幼い頃は、祖父が根を取ってくれたものを噛んで、香りを楽しんだものです。 ニッケイの歴史は古く、世界最古のスパイスのひとつとされています。エジプトでは、紀元前4000年頃からミイラの防腐剤として使用されていました。『旧約聖書』や古代ギリシアの文献にも記述があり、紀元前から使われていたことが伺えます。中国では、後漢時代に書かれた『神農本草経』に記載があり、この頃から生薬として利用されていたことが見て取れます。 一般にはシナモンの名で香料として広く用いられています。これは樹皮を乾燥させたもので、インド料理、洋菓子、和菓子、紅茶などに食品として用いたり、洋の東西を問わず、お香や香水の原料として、また薬として用いられています。 薬用には、根皮と枝を用います。前者を肉桂(にっけい)または桂皮(けいひ)、後者を桂枝(けいし)といいます。 採取はどちらも必要な時に行いますが、苗床から育てた場合、採取できるまでに20~30年かかるので、野生のものから採取するとよいでしょう。野生のものから根皮を採取する場合は、6~7月頃に、細い根を掘り取って、水洗いした後、皮を剥ぎ取り、日干しにします。生薬の取り扱いのある薬局で購入することもできます。 ニッケイには、シンナムアルデヒド、オイゲノール、サフロールなどの精油成分が含まれます。 健胃・整腸には、乾燥した根皮の粉末0.3~1gを、一日2回食前に服用します。 漢方では、肉桂は、体を温めたり、寒さを散らして痛みを和らげたり、経絡や血液の循環をよくするとされています。桂枝は、寒さが原因の風邪の初期症状を発汗により改善したり、経絡や血管を温めてめぐりをよくするとされます。桂枝湯などの風邪薬や小建中湯などには桂枝を用いるべきで、八味地黄丸や十全大補湯などには肉桂を用いるのが本当ですが、現在、日本での製造許可では全て肉桂となっており、漢方的な見地からは使い方に無理があるものもあります。 漢方でも、西洋の民間療法、ハーブを用いた療法、アロマテラピーなどでも、肉桂、桂枝、シナモンとも、妊婦には禁忌です。妊娠されている場合や可能性のある場合、これらの使用は避けて下さい。 ★食品の薬膳的はたらきシナモン |