| 病機・病因 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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中医学の生理学が解ったところで、今度は病理つまり病気やその原因や発生のメカニズムについて見てゆくことにしましょう。 中医学では、病気の起きるメカニズムを病機(びょうき)といい、人体に病気を引き起こさせる原因を病因(びょういん)といいます。
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| 病機 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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主な病機には、正邪盛衰(せいじゃせいすい)・気血失調 (きけつしっちょう)・臓腑失調(ぞうふしっちょう)・経絡失調 (けいらくしっちょう)・陰陽失調(いんようしっちょう)などがあります。 中医学では、このようなバランスの崩れを改善することを最も重視しています。また、これらは中医学独特の考え方によるもので、個人の年齢や体質、精神状態、生活環境 、気候条件などの多くの要素も考慮しなければならないとしています。つまり、同じような条件でも、ある人は病気になっても、ある人にとっては何でもないこともあり、絶対的なものではないということです。 |
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| 正邪盛衰 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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正邪とは正気(せいき)と邪気(じゃき)のことです。正気とは、 人体に必要なエネルギーつまり気のことを指します。 これに対し邪気とは、人体に悪影響を与える気候などの外的因子や代謝不良による病理産物を指します。邪気についての詳しい説明は、また後で詳しくお話しします。 正気が充実していれば免疫力・抵抗力も強く、多少の気候の変化などでは体調を崩すことはありません。仮に、邪気を受けたとしても、激しい症状が現れるもののすぐに治ります。これは、正気が 弱っておらず邪気と激しく闘争することができるきからで、闘争の結果、正気が邪気に打ち勝つとすぐ元気になります。 逆に、日頃から虚弱で風邪をひきやすいような人は、ちょっとした気候の変化などもすぐ体調に影響します。このような人は、体調を崩すと、あまり激しい症状は見られないものの、症状が長引 いたり、反復して症状が出る傾向にあります。こ れは正気が不足しているため、簡単に邪気の侵入を許し、また邪気と闘争しても負けてしまうためと考えられます。 このように、正気が充分かそうでないか、あるいは邪気の影響が強いか弱いかが病気を引き起こす重要な要因のひとつとなります。 |
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| 気血失調 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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気と血はその生成や運搬、はたらきにおいて、お互いに協力し合っています。「気は血の帥なり」「血は気の母なり」という言葉が示すように、気は血液を生成したり、血行を促すエネルギーであり、血はエネルギーを臓腑など全身に運んでいると考えます。ですから、もしも気と血どちらかに失調があれば、それはどちらにも及ぶと考えられます。 たとえば、ストレスで代謝が落ちエネルギーの流れが滞ると、それに伴い血行も悪くなります。ストレスが大きかったり、長期に渡ると、血行不良のため血管内に老廃物が溜まり、動脈硬化になることがあります。 女性が月経中、食欲不振になったり、疲れやすくなることがあります。これは血液の絶対量が減るため、臓腑を養うための血液が不足し、消化や代謝も低下するためと考えられます。 このように、気と血は協力関係にあるので、一方の不調がもう一方に移りやすく、病気の原因が双方にあることがあります。 |
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| 臓腑失調 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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臓腑のはたらきが低下したり、不調を来すと、病気を引き起こすことがあります。 たとえば、冷たいものを食べ過ぎると、お腹が痛くなったり、食欲不振になることがあります。これは冷たいものを過剰に摂りすぎたせいで、脾の熱エネルギーを損傷し、脾のはたらきが低下したためと考えられます。 PC等で目を酷使すると、目にいやな症状が出るだけでなく、頭痛や肩こり、立ちくらみやイライラなどの症状も一緒に出ることがあります。これは目を使いすぎたため、目に通じる肝の血液を損傷し、肝のバランスが崩れたためと考えられます。 このように、臓腑の不調は病気の原因になることがあります。 |
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| 経絡失調 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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経絡とは、人体を縦横無尽に走る気血を運ぶための通路です。この通路が塞がれたり、その中を流れる気血が不足すると、人体に不調が現れることがあります。 風邪の引きはじめに節々が痛くなることがあります。これは、寒さが経絡に入り込み、気血の流れを阻害することにより起こると考えます。 また、加齢に伴い足腰が痛くなったり、女性が月経中に腰痛を感じたりするのは、経絡の中を流れる気血が不足するためろ考えられます。 このように、経絡の流れがスムーズでないと、病気を引き起こすこともあります。 |
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| 陰陽失調 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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中医学では、自然界はもとより人体もいろいろな場面で陰陽のバランスを保つことで、心身の健康を保っていると考えます。ですから、このバランスが崩れると、心身に不調が現れると考えます。 陰陽を寒熱で考えた場合、熱は陽、寒は陰になります。外界から寒さを受けたり、からだの熱エネルギーが不足したりして、寒が熱より勝ると、からだには冷えの症状が現れます。反対に、外界から暑さを受けたり、からだの潤いが不足したりすると、からだはほてりなど熱の症状を示します。 このように陰陽のバランスの崩れが体調を崩す原因になることがあります。 |
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| 病因 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 病因は下図のように分類されます。
外感(がいかん)とは外的環境が与える影響のことで、風(ふう)・寒(かん)・暑(しょ)・湿(しつ)・燥(そう)・火(か)または熱(ねつ)の 六種類から成ることより六淫(ろくいん)といわれます。 五行の色代表に見られる五気に暑が加わった六気(ろっき)は、正常な季節変化に伴う季節ごとの特徴ですが、これが異常になると六淫となり、疾病を引き起こす原因になると考えます。 内傷(ないしょう)とは、精神的な要因や生活習慣、病理産物による影響のことで、ストレス・食生活・疲労・運動不足・水分代謝異常や血行不良による病理産物が原因と考えます。 尚、その他に分類される外傷等はここでは省略します。
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| 六淫 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
六淫は六気の異常により起こりますが、六気の異常には過剰・不足・不相応の 三つがあります。 六気の変化が強すぎる場合を過剰、弱すぎる場合を不足、季節にそぐわない変化を不相応と考えます。 六気が六淫に変化した場合、六淫の邪(ろくいんのじゃ)ともいい、六気の名を冠して、それぞれ風邪(ふうじゃ)・寒邪(かんじゃ)・暑邪(しょじゃ)・湿邪(しつじゃ)・燥邪(そうじゃ)・火邪(かじゃ)または熱邪(ねつじゃ)といいます。また外的環境によるものなので外邪(がいじゃ)ともいいます。 暑さを例にとってお話ししましょう。連日真夏日の猛暑になると、熱中症に罹る人が多くなります。これは暑さが過剰であったため、人体に影響が出て、通常より熱中症に罹りやすくなります。逆に冷夏の場合、暑さが不足して夏風邪が流行ったりします。また過ごしやすいはずの秋にいつまでも残暑が続くと、そぐわない暑さが秋の乾燥に拍車をかけ、体液成分の消耗が激しくなり、皮膚や粘膜、毛髪の乾燥や、空咳、だるさなどが出ることがあります。 また六気に異常がなくても、衛気の不足 や代謝異常など人体のバランスの崩れがあれば、バンランスの崩れている個人にのみ六淫となる場合があります。
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| 六淫の特徴 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
外邪である六淫は、主に皮膚・粘膜・毛穴などの体表と、呼吸器の口や鼻から侵入します。体表・呼吸器ともに中医学では肺が主っており、 いい換えれば肺のバランスが崩れると外的環境の影響を受けやすくなるといえます。 例外として、暑邪と寒邪は直接消化器系に影響を与えることがあり、それぞれ中暑(ちゅうしょ)・中寒(ちゅうかん)といいます。 六淫は単独で侵入することもあれば、複合した状態で侵入することもあります。 暑い所で運動をしていて熱中症になった場合、これは暑邪が単独で侵入したと考えられます。暴風雨の中で作業をしていて、身体が重だるく、めまいや食欲不振が出れば、風邪 (ふうじゃ)と湿邪が複合して侵入したと考えられます。これは、現れる症状や、その症状が出た時の環境や状況から判断されます。 また侵入した六淫の邪は、一定の条件下で転化することがあります。 風邪(感冒)を例に考えてみましょう。冬、寒い所にいて風邪を引いたとします。この場合、原因となる邪気は寒邪です。寒気がして、節々が痛み、透明の鼻水がぽたぽた落ちて、くしゃみが出ます。ところが数日経つと、これらの症状はなくなり、変わって黄色くて粘っこい鼻水や痰が出るようになり、食後や夜具に入るなど温まると咳が出たりします。これは寒邪が熱邪に転化したためです。初期症状は、風邪薬として有名な葛根湯や小青竜湯が効果的ですが、これを熱邪に転化した後期の症状に使用すると返って悪化します。 病因を探る場合、邪気の侵入経路や状態も大切な要因になります。
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| 六淫の分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 六淫の特徴については、薬膳レシピの各季節レシピに示してありますので、ここでは表にまとめてみました。
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| 七情 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 七情(しちじょう)とは、怒・喜・思・悲・憂・恐・驚の
七つの感情変化のことで、精神的な要因といえます。これらはそれぞれ五臓と対応し、そのはたらきに影響を与えると考えます。適度な感情の変化は、対応する臓腑のはたらきを促進しますが、過剰になると臓腑のはたらきを低下させたり、代謝や血行を悪くしたりすると考えます。
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| 七情の分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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七情は以下のように分類されます。
それぞれ具体的に例を挙げてみましょう。 最近ではとんと見なくなった雷親父。このてのお父さんは、たとえば子供が何か間違った事をすると、顔は真っ赤、目は充血、額の血管を怒脹させて怒ります。これは、怒りが激しいために、肝の気が体の上部に上り、頭や顔に症状が現れるからです。 宝くじが大当たりして嬉しさの余り失神した、という話を時々耳にします。これは、喜びすぎて心の気が緩み、精神活動の根源である神を留めておけなくなるためです。 恋をして人を思う余り、食べることがどうでもよくなることがあります。これは思いが募って脾の気が結実したように固まり、消化器系のはたらきが低下するためです。 楽しみにしていた事が突然キャンセルになったり、心配事があると、胸の辺りに空虚感がしたり、呼吸が苦しくなることがあります。これは過度の悲しみや憂いのために、肺の気が消えるためと考えます。 お化け屋敷に入ってあまりの怖さに、お漏らしをしてしまう子供がいます。これは大きな恐怖のために、腎の固摂作用が低下して気が下るためです。 入試の日に受験票を忘れたり、遅刻したりすると、パニック状態になり、落ち着いて行動することができなくなったりします。これは驚きがひどく、腎の気が乱れるために起こります。 七情の内のひとつが強く表れた場合、上記のような症状が特異的に現れます。 しかし通常は、日常的なストレスや、長期に渡る小さな感情変化が、臓腑に影響することが多く、その場合、特にリラックスを好む肝・精神を主る心・飲食物から気(エネルギー)を作る脾が影響を受け ます。これらの臓腑が影響を受けると、動悸・不眠・恍惚・精神不安・精神抑鬱・無力感・食欲不振・疲労倦怠感などの症状が現れます。
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| 飲食・労逸 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 七情が精神的な要素であるのに対し、飲食・労逸は、食事・
労働・運動など日常生活に欠かせないものを指し、生活習慣による要因といえます。節度ある生活は健康維持に役立ち、疾病の予防にも繋がりますが、バランスの崩れた生活は臓腑のはたらきや消化吸収、代謝、血行、精神活動にも影響を与え、疾病を引き起こす原因になります。
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| 食事の不摂生 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 食事の不摂生は、主に食べ物の消化を主る胃や
、からだに営養を吸収して必要なものを作り出す脾に影響を与えますが、二次的に他の臓腑や血行などにも影響を及ぼします。
また五味の過不足
や偏りは対応する五臓のはたらきと密接名関係があり、薬の効能効果にも影響が現れることがあります。
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| 過剰な肉体労働 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
過剰な肉体労働は気を消耗し、エネルギー不足から臓腑の機能低下・代謝低下・血行不良などを引き起こします。 精神抑鬱・精神衰弱・無気力・手足のだるさ・脱力感・疲れやすく、疲労が蓄積しやすい・すぐ眠くなる・動くと動悸や息切れがする・話すのが億劫・動くと症状が悪化するなどの症状が見られます。
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| 過剰な心労 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
七情でも触れましたが、過剰な心労は精神を主る心に影響しやすく、心の血液を消耗します。この心の不調は脾にも影響を及ぼしやすく、よく心と脾の症状が一緒に現れます。 心の血液不足は、不眠・健忘・動悸などを、脾のはたらきの低下は、食欲不振・胃腸の脹り・下痢などを引き起こします。
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| 過剰な休息(運動不足) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
休息を好んであまり体を動かさなかったり、運動不足があると、気血のめぐりを滞らせたり、脾のはたらきを低下させ、精神症状・消化吸収の低下・代謝不足・老廃物の蓄積を招きます。 精神抑鬱・精神衰弱・無気力・食欲不振・体力低下・疲労倦怠感・動くと動悸や息切れがする・動くと症状が悪化するなどの症状が現れます。
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| 過剰な性行為 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
男女を問わず、過剰の性行為は生命活動の源である腎精を直接消耗させ、腎のはたらきを低下させます。 セックスでダイエットなどの記事を目にすることがありますが、これは体が不自然に痩せるだけでなく、他にもいろいろな症状を併発させます。 健忘・集中力低下・頭がぼーっとする・めまい・耳鳴り・足腰のだるさや痛み・大小便の不調・不妊、また男性なら遺精・早精、女性なら月経の遅れや停止・異常なおりものなどの症状が出ます。
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| お血 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ここでお話しするお血と次の痰飲水湿は、代謝や循環の異常によって体内に蓄積された病理産物で、この病理産物が滞ると心身の健康に大きく影響を与えます。 お血(おけつ)とは、血が血脈から離れて停滞したり、臓腑や経絡に滞って流れにくくなったものをいい、血としての 本来の性質を失ったものです。このような状態を血お(けつお)といいます。
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| お血の原因 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
お血は、先に説明した六淫や七情、臓腑の機能失調、打撲やけがなど外傷が原因で起こります。 例えば、真冬に手足の指がしもやけになることがあります。これは六淫のひとつである寒邪の影響で血行不良となり、お血ができたことが原因です。 長期間、緊張状態が続くと、血管が収縮して血液が流れにくくなり、高血圧になることもあります。これは、長期に渡る七情の影響で肝の血行をコントロールするはたらきが悪くなり、血液の流れが悪くなって、お血を形成するためと考えられます。 臓腑の機能失調がある場合、例えば、心の気が不足すると推動作用が落ちて血行が悪くなりお血の原因となります。例えば、過度の肉体疲労などで脾のはた らきが低下すると、血管から血液が漏れだして皮下出血を起こし、お血になります。 また打撲などによる青あざや、傷周辺の黒ずみもお血の一種です。
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| お血の分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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お血の部類は、その原因により、血虚血お・痰濁血おなど多岐に渡りますが、ここでは、主要となる4つについてお話ししておきます。
気虚血お・気滞血おは気に原因がある場合です。前者は気の不足、後者は滞りによります。前者の場合、不足が原因なので、お血を取り除きつつ、不足した気も補ってゆかなければ、またお血を作ってしまいます。後者の場合は、血だけでなく気も滞っているので、気と血両方の循環がよくなるようにします。 血寒血お・血熱血おは寒熱が原因の場合です。 血行を促進したいからといって、にんにくや唐辛子などスパイシィなものを大量に摂ったり、半身浴などをすると、前者の場合にはよくても、後者では悪化させてしまいます。また水分補給をしすぎると、前者の場合には体が冷えて逆効果になります。 このように病理産物であるお血は、できる原因や課程がそれぞれ異なるため、治療や改善をする場合、単に病理産物であるお血だけを除けば良いというわけでは なく、お血を引き起こした根本原因を改善しなければなりません。お血とは心身の不調の結果ですから、ちゃんと原因を見極めて対処することが大切です。
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| お血による症状 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| お血には特徴的ないくつかの症状があります。
臓腑・器官別にみると以下のような症状があります。
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| 痰飲水湿 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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痰飲水湿(たんいんすいしつ)とは、水分代謝の低下により体内に滞った不要な体液成分で、お血と同じく病理産物です。この内、水湿は六淫の湿邪と似た症状を呈するので、ここでは痰飲を中心にお話ししてゆきます。 分類で説明するように、痰飲は痰と飲に分けられます。ここでいう痰には二つあり、それぞれ有形の痰(ゆうけいのたん)・無形の痰(むけいのたん)といいます。前者は感冒や肺の疾患で見られるいわゆる痰で、目で見ることができます。こちらは肺のはたらきにより吐き出すことができるので、治療は比較的難しくありません。しかし、後者は体内に停滞したヘドロのような不要で汚い水分で、目で見ることはできないため「無形の痰」といわれています。血管内に蓄積したコレステロールなども無形の痰の一種で、体外への排泄が難しく、治療にはかなりの時間を要します。 |
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| 痰飲水湿の原因 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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痰飲水湿は、外感の六淫や内傷の七情・飲食・労逸により、水分代謝の低下が起こることで作られます。体液成分の生成・代謝は肺・脾・腎・三焦・膀胱などで行われますが、六淫や七情・飲食・労逸などによりこれらの臓腑が障害を受けると、水分代謝が低下して痰飲 水湿が形成されます。 六淫は呼吸器や体表から侵入しやすく、五臓の生理機能に影響を与えます。例えば、湿邪を受けると 臓腑の水分代謝が低下して、体が重だるくなったり、むくんだりします。特に湿邪は脾に影響を与えやすく、消化器系に湿気が停滞して、食欲不振や下痢が起こります。また寒邪により風邪をひくと肺のはたらきが障害され、痰や鼻水などが作られます。 七情は水分代謝に直接影響を与えることはありません。しかし、七情が最も影響する肝は臓腑の代謝をコントロールしているため、肝のはたらきが障害されることで、水分代謝を行う臓腑の機能がスムーズに行われなくなり、二次的に水分代謝の低下が現れます。 また七情で肝が障害されると、体内に不要な熱ができやすく、その熱により津液が煮詰められて痰飲湿濁を作ります。 ストレスで見られるヒステリー球はこの典型です。 冷たいもの・生もの・水分の取りすぎは、脾のはたらきに影響を与え、水分代謝を低下させます。ダイエットで生野菜や果物ばかり摂っていると筋肉は落ちるものの、なんとなく体が重だるく、むくむことがありますが、これは生ものの過食で脾の水分代謝が低下するためです。また、甘いもの・味の濃いもの・油っこいものの過食や過剰の飲酒は湿熱を生みます。深酒が続くとむくんでだるく、頭もすっきりしませんが、これは湿熱によるものです。 過剰な肉体疲労や運動不足、慢性疾患、老化は、臓腑の機能低下を起こしやすく、水分代謝にも影響します。長時間の立ち仕事で足がむくむのは、疲労が腎に影響し、水分代謝が低下するためです。 |
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| 痰飲水湿の分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
痰・飲・水湿はその形状や停滞する場所
などにより細かく分類されます。しかし、ここでは停滞する場所や細かい名称は省き、それぞれの形状と現れる症状について大まかに表にまとめました。
同じ体液成分から成る病理産物であっても、症状や治療方法はそれぞれ異なります。水湿のように、形状が稀薄なものは性質も稀薄で、症状も軽く、治療も比較的簡単です。湿の場合には主に気の流れを改善し、水の場合には利尿などの方法で水分代謝を促します。しかし、飲や痰のように形状が粘っこく、汚くなるに連れ、症状も多様で重く、治療には時間を必要とします。特に痰はそのままでは排泄しにくいので、痰を溶かすような化痰という方法がとられます。少し矛盾するようですが、痰を薄めるために、わざわざ水分を補うような方法を用いることもあります。 |
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| 内生の五邪 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 内生の五邪(ないせいのごじゃ)とは、気血や臓腑の失調によって現れる
五種類の特徴的な障害の状態の総称で、病因ではありませんが、症状が六淫によく似ているので、この場を借りてお話ししてゆきます。
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| 内生の五邪の特徴 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
中医学では、人間も自然と同じであると考えるため、六淫と似た症状が人体に現れると考えます。しかし、六淫は病因になりますが、内生の五邪は障害の状態であるという点が異なります。 内生の五邪を観察することにより、疾病の原因となる気血津液などの構成成分や臓腑の失調を、より詳しく確認することができます。これにより、心身の状態をきちんと把握すれば、最良の処方やメニューを見つけるための強力な手段となります。
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| 内生の五邪の分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 内生の五邪はそれぞれ、内風(ないふう)・内寒(ないかん)・内湿(ないしつ)・内燥(ないそう)・内火(ないか)または内熱(ないねつ)に分類されます。暑邪は自然界だけの邪気で、人体の障害では見られません。
過剰または長期に渡るストレスや精神疲労、肝腎の血や津液の不足などがあると、肝の陰陽のバランスが崩れると、外風を受けた時と同じように、頭痛やめまい、運動障害が現れます。 たとえば、更年期に入り、肝腎の不足が激しく陰虚内風となると、更年期障害が起こります。更年期障害の症状には、のぼせて大汗をかくかと思えば急に冷めたり、急にめまいや耳鳴りが起こったり 治まったり、発病部位や発病時間が不特定で、症状の変化が激しいなど、風の特徴がよく現れています。 女性が月経中や月経後に、立ちくらみやめやいがしたり、体がしびれたように感じたり、こむら返りなど起こしやすくなることがあります。これは生理による出血のため肝血が必要以上に失われて血虚生風となったため、めまいなどの症状や運動障害が現れるのです。 食事の不摂生や肉体疲労、慢性疾患などで陽気が消耗されると、外寒を受けたように冷えの症状が現れます。たとえば、アイスや生ものなどを好み、寒い時期でも食べ続けていると、脾陽を消耗して中焦虚寒となります。外寒を受けたように、体が冷え、顔色や唇の色が悪くなり、下痢や頻尿がみられます。 偏食などにより脾のはたらきが低下すると、内湿が生まれます。特に、過剰の冷たいもの・なまもの・水分は寒湿を生み、味の濃いものや酒の摂り過ぎは湿熱を生みます。 たとえば、 先の中焦虚寒は脾の水分代謝の低下も招き、寒湿も生みます。寒湿が生まれると、冷えの症状に口のなばりやむくみ、だるさなども加わります。深酒をすると湿熱が生まれ、尿がにごったり、ひどいと黄疸になったりします。 大量の発汗・嘔吐・下痢・出血などにより脱水症状になったり、慢性疾患、加齢などで潤いを消耗すると内燥が生まれます。水分補給せずに運動したりすると、津液が激しく消耗されて内燥が起こり、のどの乾燥や渇き、痙攣が見られます。また加齢に伴い津液が消耗されて内燥が生まれると、皮膚が乾燥して痒くなったり、空咳が出たり、便秘になったりします。 臓腑の陰陽のバランスが崩れたり、過剰または長期に渡るストレスがあったり、気血の巡りが悪くなったり、お血・痰飲水湿など病邪の滞りがあると、これらは火邪・ 熱邪に変わります。また風・寒・湿・燥などの五気が、長期に渡り停滞して熱や火に変化することを特に五気化火(ごきかか)といいます。頭などをぶつけてできるこぶはお血によるものですが、これを放っておくと熱を持って腫れてきます。これはお血の滞りが内熱を生んだためです。 たとえば、 外寒が原因で感冒に罹ると、最初は寒気がして節々が痛み、透明の鼻水がぽたぽた出るなど寒の症状が見られますが、次第に黄色い鼻水や痰が出るなど熱の症状に変化します。
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