| 薬性 | ||||||||||||||||||||||||
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陰陽五行のお話にも出てきたように、味なども中医学的な薬理学や栄養学では大切な要素のひとつです。ここでは、基本となる五つの事柄についてお話ししてゆきます。
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| 気(性) | ||||||||||||||||||||||||
| 気(性)とは、寒・涼・温・熱の
四つの属性のことで、これら四つを合わせて四気(
しき)あるいは四性(しせい)といいます。実際には、どれにも属さない平を加えた
五つに分類されます。これらの属性は、
生薬や食物などの効能効果に反映されるとても重要な要素のひとつです。
先に勉強した陰陽に上の表を分類してみると、ブルーで示された寒涼の部分が陰、ピンクで示された温熱の部分が陽となります。平はこの場合、どちらにも属しません。 陰陽はどちらか一方だけでは存在できす、絶えず影響を与え合っていました。これを人体と食品で考えてみましょう。 夏。照りつける日差しに気温は上昇し、私たちのからだも暑く、のども渇きます。これは私たちのからだが陽に偏っている状態です。この状態が長期間続いたり、急激に起これば、夏バテや熱射病など体調を崩します。こんな時、寒涼性の食物を摂ることで健康を損なわずに済みます。 たとえば、にがうり。夏バテ防止の代表選手です。 冬。木枯らしが吹き付け、雪も降ります。私たちのからだも寒さを感じ、代謝や血行も悪くなります。この状態は、私たちのからだが陰に偏っているといえます。このままでは風邪もひきやすく、またあらゆる病気の原因にもなります。この場合には、温熱性の食物を摂ることでこの状態を改善できます。 たとえば、にんにくととうがらしの効いたピリ辛スープ。からだが芯から温まり、身も心もポカポカになります。 平性の食品は、基本的にどちらにも影響を与えませんから、陰陽の偏りに関係なく摂ることができます。 このように自分のからだの偏りに合わせて食品を選ぶことで、病気の治療や予防、健康維持に効果を出すことができると考えます。
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| 味 | ||||||||||||||||||||||||
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中医学でいう味にはふたつの意味があります。ひとつは、味覚として感覚的に理解することのできるもの、もう ひとつは、臨床経験に基づく理論的な推測で味わうことのできないものです。 味覚として味わうことができるものというのは、梅干しは酸っぱい、にがうりは苦い、砂糖は甘い、とうがらしは辛い、塩はしょっぱいなど普通に食べ物を口にした時に解るものです。 では、味わうことができない理論的な味とはどんなものでしょう。 五行の色体表を見ると、木火土金水にはそれぞれ対応する味がありました。この味にはそれぞれ異なるはたらきがあるとされ 、中医学では、病気の予防や治療を行うための重要な要素のひとつです。 食べ物の中には梅干し(酸味)のように、はたらきも味覚としての味も両方持つものがたくさんありますが、中にはこんにゃく(辛味)のように、はたらきはあっても味覚としては味わうことのできないものもあります。 梅干しの場合、味覚としても「酸っぱい」感じますし、はたらきも酸味の特徴である「収斂」があります。ところが、普通こんにゃくの味覚として「辛い」は当てはまりません。 しかし、こんにゃくには「水分代謝や血行をよくする」はたらきがあり、これは正に辛味の特徴です。 このような感覚的な味と理論的な味を以下のように、酸・苦・甘・辛・鹹の五味(ごみ)に分類します。しかし、実際には渋・淡を加えた七味(しちみ)となります。
お腹をこわしている時、日本ではお粥と梅干しは定版です。これは、消化が良く弱った胃腸に負担をかけないよう、また梅干しの殺菌作用を期待する意味もありますが、下痢することによって失われた体液成分を水分の多いお粥によって補い、梅干しの収斂作用によってこれ以上下痢しないようにする意味もあるのです。逆に、むくみがあったり、身体に不必要なものがたまってい時には控えた方が良いでしょう。 最近では、日本国内で普通に見かけるようになりましたが、昔から中国や東南アジア、沖縄などでは、暑い季節、にがうりをよく食べていました。にがうりはその名の通りとても苦いものですが、この苦さが暑気払いになり、夏バテの防止にも回復にもつな がることを暑い地方の人々は知っていたからです。但し、夏バテ予防といっても、クーラーなどで冷えの症状がある時には不向きです。
ヘトヘトに身体が疲れた時の甘いものは、元気回復にとても効果的です。またストレスのある時には、無性に甘いものが欲しくなったりします。 前者は現代医学的にも、甘いものに含まれる糖分が解糖系に入り、すぐにエネルギーに変わるからだとされています。更に中医学では、甘味にはストレスによる心身の緊張をほぐすはたらきがあるとされ、後者のような場合にも甘いものを欲すると考えます。 でも、食べ過ぎは胃もたれを起こしたり、長期間、多量に摂ると糖尿病などの心配もありますからほどほどに。 とうがらしを食べると、身体が温まり、汗が出て、食欲も増進されます。これは、とうがらしが代謝を促進して寒さを発散したり、発汗や胃腸の働きを促すからです。摂りすぎは発散が過剰になり、 逆に身体が疲れたり、乾燥したりすることもあるので注意しましょう。 塩をそのままの状態で置いておくと、周りの水分を吸収して潮解します。塩分を取りすぎると身体に水分がたまり、むくみがでたり、血圧が上がることもあります。 ある種の下剤にはMg(マグネシウム)などを含みしょっぱいものがありますが、これは大便の水分を保って軟らかくするためです。 因みにMgは、減塩醤油などでNa(ナトリウム)の代わりにしょっぱさを付けるために使われるものです。寒い地方の人たちはしょっぱい味付けを好むことが知られていますが、塩分を摂ることによって、血管が水分を保ち、血管の弾力が悪くなるのを押さえることができるという報告もあります。 渋柿の渋などにも含まれるタンニンという成分があります。これは西洋薬でも、昔から下痢止めとして使われています。 はと麦茶は昔から、水イボを取ったり、身体に水のたまっている時に良いといわれています。はと麦自体にはしっかりした味はありませんが、この淡い味が水分代謝をよくするのです。しょっぱいものが水分を保つのと丁度逆のはたらきを持 ちます。 中医学では味も重要な要素として考えますから、健康維持や病気の予防、回復に役立ちますが、逆に個人の体質やTPOを無視すると体調を崩す 原因にもなりかねません。また五味は対応する臓腑と関係が深く、適度に摂ると対応する臓腑のはたらきをよくしますが、過不足があると対応する臓腑のバランスを崩すこともあります。基本的には五味をバランスよく摂ることが大切です。
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| 帰経 | ||||||||||||||||||||||||
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中医学独特の考え方のひとつに経絡(けいらく)というものがあります。経絡とは、経脈(けいみゃく)と絡脈 (らくみゃく)の総称で、人体の構成物質である活動エネルギー(気)や血液、体液などが流れる通路と考えられています。経脈の「経」は「径」、絡脈の「絡」は「網」に通じ、経脈は身体の上下を直行する幹線で、絡脈は細かく枝分かれして体内を縦横無尽に走る支線です。 経絡は、五臓六腑と関係する身体の組織や器官を結び、栄養や老廃物を運搬したり、生理機能を調節したりします。とはいえ経絡と西洋医学(現代医学)でいう血管や神経は別なもので、目で見ることはできません。でも、経絡の流れがよくないと痛みなどの症状が現れたり、病気の原因になったりします。 たとえば、針灸治療などで痛みが軽減されたりするのは、鍼灸の刺激によって経絡の流れをよくするためです。またけがや打撲、手術などの後、組織は完治しているのに、天気やストレスなどで古傷が痛んだりするのも、目には見えない経絡の損傷が治りきっていないとう場合 があります。 帰経(きけい)とは、食物や生薬の持つ選択性、すなわちある食物や生薬がどの経絡に入るか、どの臓腑に入り作用するかということを示すものです。この選択性が健康維持や病気の予防、治療に大きな意味を持ってきます。 たとえば、PCを使っていて目が疲れたり、かすんだりしたとしましょう。 五行の色体表を見ると、「目」は五行の「木」に当たり、臓腑では「肝」と関係します。肝が血液を貯めていることは以前にもお話ししましたが、肝と関係のある目は、 肝と経絡によって繋がっています。肝に貯めている血液が経絡を通って目運ばれ、目を養い、正常にはたらくことができると考えられています。目を酷使すると肝に貯めてある血液を消耗するため、栄養が不足して疲れ目やかすみ目にな ります。従って、疲れ目やかすみ目を治したり、予防するには、肝にある血液を増やすと良いということになります。血液を増やす食物といえばレバー・いか・大豆・クコの実・ゼラチンなどたくさんあります。また血液と関係のある臓腑も心や脾など肝以外にもあります。 ここで食物の持つ選択性、つまり帰経が重要になってくるのです。もちろん血液を増やす食物を摂れば、帰経が違っても最終的な効果は同じように得ることができる場合もあります。しかし帰経が合っている方がより早い効果を望めます。目を養うことが目的ですから、目と繋がっている肝経に入るものを摂った方がより効果的だということです。例でいうなら、大豆を摂るよりは、レバー・いか・クコの実・ゼラチンなどを摂った方が良いということになります。
帰経は1つの食物や生薬に対して、1つまたは多数あります。 また動物など人体と同じ臓腑や器官を持つものでは、レバーは肝、ハツは心というように、直接同じ臓腑や器官に入ると考えます。中国などで、 足が悪ければ足の部分を、血液が足りなければ血液を摂る習慣は、もともとはここからきています。
個人の体質やTPOをみて、どこの臓腑や経絡のバランスを調節すれば良いか、その臓腑や経絡を帰経に持つ食物は何か、正しく見極めることができれば、健康維持も病気の予防や治療も、とてもやりやすくなります。
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| 昇降浮沈 | ||||||||||||||||||||||||
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中医学では、気(エネルギー)の流れをとても重視しています。 生命は気が滞ることなく行ることで保たれていると考えます。ですから、この気の行りが完全に停止した時、生命は死を迎えると考えます。 つまり、健康を維持には気が身体の中を正常に流れることが重要だということです。 気の基本的な動きは 昇降出入(しょうこうしゅつにゅう)に大別され、それぞれ上下内外の 四方向に分類されます。中医学ではバランスを大切にしますから、健康であるということは昇(上)と降(下)、出(内)と入(外)のバランスが調っていることだと考えます。このバランス が調うということは、良い気が充分あって、気の流れを阻むものがないということです。 たとえば、気持ちが昂揚しすぎると身体も興奮状態になり、血圧が上がったり、 脈拍が速くなったり、激しければ気を失うこともあります。このような時、身体は無意識の内に気持ちを落ち着けて、血圧や脈拍を安定した状態に戻そうとします。また気持ちが沈ん でいると身体の働きも悪くなり、消化吸収能力が低下して食欲不振になったり、疲れやすくなったりします。でも気持ちを奮い立たせることで、食欲不振が改善されたり、疲れていて も身体を動かすことができたりします。これは気持ちの亢ぶりと落ち着き、つまり昇降のバランスによるものです。 呼吸は生きていく上でなくてはならないものです。この栄養を吸い込み、老廃物を吐き出すという作業は、出入の最もわかりやすい例だといえるでしょう。 では、昇降出入のバランスが崩れた場合、つまり病気になるとどうなるのでしょうか。 たとえば、怒りやストレスが長期に渡って持続した場合、昇>降となり、からだの上部に位置する頭に血液が集中してのぼせるため、脳血管障害を引き起こすことがあります。同じように、心配事や不安感が長期に持続すれば、昇<降となり、 精神的に落ち込んだ状態である、鬱病や慢性疲労症候群になる場合もあります。 風邪をひいて痰が肺に貯まると、出入のバランスが崩れて、呼吸困難を引き起こす場合もあります。 また昇・降・出・入それぞれの方向に現れる症状の例を挙げてみると、嘔吐(昇・上)、下痢(降・下)、寝汗(出・外)、排尿困難(入・内)などがあります。 これらのバランスの崩れを調整したり、改善するための対応策として昇降浮沈(しょうこうふちん)があります。昇とは上昇、降とは下降、浮とは発散、沈とは鎮静・収斂の作用を指します。 気の動きである昇と降、出と入が対であったように、昇降浮沈も昇と降、浮と沈が対になります。 ですから、嘔吐のように病気の方向が上に向かっていれば、下降させる降の作用のある食べ物や生薬を使いますし、胃の膨満感のように病気の方向が内に向かっていれば、発散させる浮の作用のあるものを使います。 昇降浮沈はまた、気味と切り離して考えることはできません。昇・浮の作用のある食べ物や生薬には辛・甘味、温熱性のものが多く、降・沈の作用のあるものには酸・苦・鹹・渋味、寒凉性のものが多くみられます。 たとえば、辛くて温熱性のスパイスは発散作用があるので浮と考えられますし、渋くて寒性の柿のしぶは下痢止めの作用があるので沈と考えられます。 この他、形状や加工も影響すると考えられています。比較的軽い葉や花などには昇・浮の作用が、比較的重い実や鉱物などには降・沈の作用があるといわれています。芳香性のある食べ物や生薬は、長時間の加熱などで香りがとんでしまうと作用が減弱したり、味付けによっても作用が変化したりすることがあるといわれています。 今日はとてもイヤなことがあって、まだ心臓がバクバクいっています。イライラもとれないし、このままでは夜も眠れそうにありません。
気味と合わせて気の動きのバランスを調えれば、健康維持や病気の予防、治療にもっと役立ちます。
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| 効能効果 | ||||||||||||||||||||||||
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効能効果とは、健康維持、病気の予防、治療をするための食物の持つはたらきを指します。もちろん、今までに出てきた気(性)味・帰経・昇降浮沈なども関係しています。 中医学では食物には以下のような効能効果があると考えます。 @病気の原因を取り除く A新陳代謝を活発にして、蓄積した身体に不必要なものを取り除く B陰陽のバランスを調える C体内物質のバランスを調える D臓腑のバランスを調える ほとんどの食べ物や生薬は、いくつかの効能効果を同時に持っています。 【効能効果別にみる食品の例】
【食品別にみる効能効果の例】
効能効果はダイレクトでわかりやすいかと思いますが、先にお話しした四つの考え方をこれにプラスすることで、自分にあった最良の食事を楽しむことができます。
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