臓腑学説
人体の構成成分がわかったところで、今度はこれらを作りだし、活用している臓腑についてお話ししましょう。西洋医学・現代医学の内臓と同じ名前のものも出てきますが、はたらきは必ずしも同じではありません。頭を切り換えて理解するよう心掛けて下さい。

 

五臓六腑

現代医学の内臓に当たるものを中医学では五臓六腑(ごぞうろっぷ)といいます。五臓六腑に染み渡るウマ さ…この五臓六腑です。

五臓(ごぞう)六腑(ろっぷ)は異なるもので、心身の構成成分である気血津液や精神を作り出し、貯蔵することがきる器官を五臓、飲食物を受け入れ、消化 吸収し、カスを排泄する器官を六腑と呼びます。いい換えれば、 五臓は、心身の構成成分で満たされますが、飲食物を受け入れることはできません。逆に六腑は、飲食物は受け入れられますが、構成成分を満たすことはできません

五臓には、心(しん)肝(かん)脾(ひ)肺(はい)腎(じん)の 五つがあります。六腑には小腸(しょうちょう)三焦(さんしょう)胆(たん)胃(い)大腸(だいちょう)膀胱(ぼうこう)の 六つがあります。 また六臓六腑(ろくぞうろっぷ)ということもあり、この場合は臓に心包(しんぽう)をえ加え、三焦と対になります。

これら五臓六腑は、その位置やはたらきで上焦(じょうしょう)中焦(ちゅうしょう)下焦(げしょう)の 三つに分けられます。

上焦 心・肺
中焦 脾・胃
下焦 肝・腎

五行の色体表からもわかるように、 五臓と六腑の間には密接な関係があり、この関係を表裏関係(ひょうりかんけい)といいます。

        
五臓 心・心包
六腑 小腸・三焦 大腸 膀胱

 

六腑
飲食物の消化・吸収・排泄は六腑で行われることはお話ししましたが、 これを更に詳しくみてゆきましょう。

    【飲食物】  
       
    受け入れ
初歩的消化
下降
 
    |  
    |  
  胆汁分泌

────→

小腸 受け入れ
消化
分別

   

    |

──┘
  【清】

    |

┌───

───── |  

 

         【濁】

 

         【濁】

 

  

膀胱 貯蔵
排泄
大腸 排泄  
【尿】 【大便】    

主受納
しゅじゅのう
口から入った飲食物を受け入れる。
主腐熟
しゅふじゅく
飲食物の初歩的な消化をする。
主和降
しゅわこう
消化したものを下降させる。
疏泄精汁
そせつせいじゅう
小腸に精汁(胆汁)を分泌し、消化を助ける。
小腸 受盛化物
じゅせいかぶつ
胃から下降してきたものを受け入れて消化する。
泌別清濁
ひべつせいだく
気血津液の原料となる清と、カスである濁を分別する。
清は五臓の脾に運ばれ、濁は大腸や膀胱に運ばれる。
大腸 伝導糟粕
でんどうそうはく
濁の内の固形成分を運び、大便として排泄する。
膀胱 貯蔵尿液
ちょぞうにょうえき
濁の内の水分を尿として貯蔵する。
排泄尿液
はいせつにょうえき
尿を排泄する。

口から摂った飲食物は、胃から下降してゆき、胆から分泌される精汁(せいじゅう)などに消化を助けられながら、小腸で気血津液の原料となる清(せい)とカスの濁(だく)に分別されます。清は気血津液に作りかえられるため、五臓の脾に運ばれます。濁は固形成分と水分がそれぞれ大便と尿になり、体外に排泄されます。

尚、清濁は陰陽と同じく相対的な分別ですから、ここでいう清濁が必ずしも他で表現される清濁と一致するとは限りません。

 

五臓
気血津液学説でも断片的に出てきましたが、改めて五臓について五行の色体表を基にお話ししてゆきましょう。

 

五行の色体表の「木」にあたる臓腑は肝・胆です。肝は「将軍の官」ともいわれ、主に心身のコントロールを主っており、 三つの重要なはたらきがあるとされます。

一つめは、精神や情志活動・消化・血行や代謝機能のコントロールで、これを疏泄作用(そせつさよう)といいます。

肝臓がストレスと関係深いことは、現代医学でも常識となっていますが、中医学では四千年もの昔から当然のことでした。肝は「木」に属しますから、樹々は上や外側に向かってのびのびと枝葉を広げるように、伸びやかなリラックスした状態を好みます。ところが肝がストレスを受けると、緊張して縮こまった状態になり、コントロール機能がうまくはたらかなくなります。そのため、イライラ・落ち込み・情緒不安定など精神面に影響が出たり、食欲不振・胃痛・胃潰瘍など消化器系に症状が現れたり、あるいは手足が冷たくなったり、疲労を感じたり、血行や代謝の低下に伴う症状が見られます。

二つめは、血液の貯蔵です。

レバーを調理するにあたり、必ずしなければならないのが血抜きです。これは他の内臓に比べて肝臓に血液が多く集まっている証拠に他なりません。肝は、飲食物から作られたり、腎精から転化したをストックし、不足した部分に補っています。このストックしている血は、肝自身が正常に機能するためにも必要なものです。ですから、食事の不摂生や過度の献血、女性の場合、月経や妊娠、授乳などで血液の消耗が激しいと、肝のコントロール機能にも影響が出て、普段よりストレスを受けやすくなったり、先のコントロール低下による症状が見られることがあります。

三つめは、筋のコントロールです。

筋は血によって営養されていることは言うまでもありませんが、これは肝に貯蔵さている血によるものです。血が筋に栄養分を運び込み、老廃物を運び出していることで、筋ははたらくことができます。もし血が不足して血行が悪ければ、筋は栄養不足で、つったりしびれたりします。

胆から出る精汁(胆汁)は肝の余気(よき)から作られると考えます。 現代医学的にも、胆汁は不要な血液を原料に肝臓でつくられ、胆嚢で濃縮されて腸内に分泌されるとされています。

ところで中医学では、人間には九竅(きゅうきょう)という九つの穴があると考えられています。 九つの穴とは、二つの目・二つの耳・二つの鼻孔・口・尿道(生殖器を含む)・肛門のことを指します。この九竅は各臓腑に対応していて、それぞれ密接な関係を持ちます。

この内、肝と関連のあるものがです。肝に貯蔵されている血液の一部は昼間目を営養 し、そのため目はものを見ることができると考えられています。ですから肝の血のストックが不足すると、疲れ目やかすみ目、光が眩しいなどの症状が現れます。目の分泌物はです。この泪も血の不足があれば減少し、ドライアイなどが起こります。PCの画面を長時間見ていたり、継続してゲームをしていると、目の疲れだけでなく、イライラしたり、落ち着きがなくなることがあります。これは、肝の開竅(かいきょう)する目を酷使することで肝の血を消耗し、肝のコントロール機能に影響が出るからです。

筋余(きんよ)とも呼ばれ、筋の余りと考えられます。肝は筋を主っています。肝の血が不足すると、爪の色が悪くなり、剥がれたり、割れやすくなることがあります。

怒りの感情は肝に最も影響を及ぼします。木が上に向かって伸びるように肝の気は上昇しますが、怒りの感情はこの上昇に加速を与えると考えられています。めちゃくちゃ怒ったり、腹が立った時、顔は真っ赤になったり、目が血走ったり、あるいは頭痛やめまいが起こるのは、肝の気が怒りによって必要以上に上昇するためです。

肝がバランスを崩すと、顔色や皮膚が青黒くなることが多々あります。これは肝がと関係しているからと言われています。

になると妙にウキウキしたり、ちょっとしたことでイライラしたり、感情の起伏が激しくなります。「木の芽時」に精神面に症状が出やすいことはよく知られています。これは精神面や情緒を主る肝が春と関連が深いため、春に起こる自然の変化に影響されやすいためと考えられます。

梅干しやレモンなど酸っぱいものを食べると、キューッと口や目をすぼめたくなりますが、酸味によるこの反応はからだの中でも起こっています。酸味には収斂のはたらきがあります。酸味を適度に摂ることにより、肝のバランスやはたらきをよくすることができます。肝は木のように上や外に向かう伸びやかな臓腑ですが、これが過ぎると代謝等が加速しすぎて心身に悪影響を及ぼします。酸味は収斂により、過度の代謝等が起きないよう抑えることができます。また肝にストックしている血が必要以上に漏れ出ないよう納めるはたらきもあります。但し、酸味の過剰摂取は肝のコントロール機能を低下させたり、血行を悪くする場合があるので注意しましょう。

肝は心身のコントロールを主るメインコンピュータのような役割をしています。リラックスを心掛け、きれいな血液を充実させて、心身の健康を図りましょう。

官は「将軍の官」心は「君主の官」

 

五行の色体表の「火」にあたる臓腑は心・小腸・三焦・心包です。心はそのはたらきと位置から「君主の官」ともいわれ、主に 三つの重要なはたらきがあるとされます。

一つめは、血液と血行を主るはたらきです。

は飲食物や腎精から作られますが、飲食物起源の血は、心気のはたらきがあって初めて赤くなり、血としてはたらくことができるようになります。また血は、心気の推動作用に よって全身に行き渡ります。ですから、心気の不足つまり心機能の低下があると、充分な食餌を摂っても健康な血液ができにくかったり、血行が悪くなることがあります。

二つめは、精神や思惟活動の大元であるということです。は腎精から作られ、心に宿ります。神は心気によって促され、心血が営養することにより、正常な精神・思惟活動を行うことができるとされます。も 精神や情緒面のコントロールをしていますが、「将軍の官」である肝はあくまでサポート中心です。たとえば、幸せ新婚カップルが、仕事でケアレスミスを連発したりすることがあります。これは過度のうれしさに心気が緩んで抜けだし、神を守れなくなるために起こります。 また大量出血をすると意識が薄れてゆきますが、これは心血が出血により失われるうため、神を営養できなくなるからです。

三つめは、汗を主ることです。

中医学では「汗は心の液」といわれ、心気が血の構成成分である津液から汗を作ると考えます。過度の運動や炎天下に長時間いると、大量の汗をかき、心臓がドキドキすることがあります。緊張など神に影響がある場合にも冷や汗をかいたりします。これは心が汗を主るためです。

ところで五行の色体表では、心と同じく「火」に属する六腑は 二つでしたが、これでは陰陽のバランスがとれなくなります。そこで六つめの臓として心包を加えた六蔵六腑とする場合もあります。ただ心包は心臓を保護するはたらきのみで、他の臓に比べて生理機能が少ないため普通は五臓六腑とします。小腸のはたらきは六腑でお話ししたように、消化された飲食物から清濁を分別することでした。三焦も心包も、現代医学の解剖学的には見ることのできない器官ですが、中医学では大切なはたらきがあります。三焦は、上焦・中焦・下焦の三焦を繋ぐ通路と考えられています。心包は、心の周りにあって心を保護していると考えられます。

心はと関連があるとされています。心は血を主っていますが、この血の状態をみるのに最も適しているのが舌です。中医学の診断所見で重要なもののひとつにこの舌があります。何故なら、舌を見ることで、身体全体の状態がわかるからです。血が不足すると舌自体の色が白っぽいピンクになります。更に血行も悪くなっていると紫っぽくなります。血が熱を持つと舌が赤くなります。

からだの上部に位置する心の状態は、同じく上部に位置する面、すなわち顔にも現れやすく、舌同様、血の不足では白っぽくなり、熱があると赤くなります。

喜びの感情は心にもっとも影響します。心気は神を守っていますが、先の例にもあったように、あまりにも喜びすぎると心気が緩んで神を守ることができなくなり、精神・思惟活動に影響が出ることがあります。逆に、ストレスなどで神が緊張状態にある場合には、喜ぶことで緊張が緩み、精神・思惟活動がスムーズに行われます。 たとえば、大事な仕事の前で緊張している時、好きなひとから激励されると、緊張が解けてリラックスして臨むことができたりするのもこのためです。

心気は血を赤く染めるはたらきがありましたが、「火」に属する心は余分な熱を受けることで、舌や顔が赤くなるなどと深い関係があります。

の暑さは心に影響しやすく、熱射病などでは、心の主る汗が大量に出たり、動悸がしたり、心身の脱力感を感じたりします。

暑い地域では、にがうりなど苦いものを摂る習慣があり、自然に夏バテ防止をしています。苦味には熱を冷ますはたらきがあり、「火」に属し、もともと熱化しやすい心がバランスよくはたらけるようにします。しかし苦味の摂りすぎは、心を冷やしすぎてバランスを崩す原因になるので気を付けましょう。

血液だけでなく、精神・思惟活動の大元でもある心は、現代医学で考える以上に大切な臓腑です。

 

五行の色体表の「土」には脾・胃が属します。脾は「後天の本」と もいわれ、生理活動に必要なものを作り出す工場としてとても大切です。脾には主に五つの重要なはたらきがあるとされます。

一つめは、飲食物から生理活動に必要な営養物質を作り出すことです。

消化された飲食物は小腸で分別され、その内の清は脾に運ばれます。この清を原料に、脾は生理活動に必要な物質を作り出します。これらは全身を営養するとともに、腎にある有限の先天の精を補います。仮に、脾を工場、飲食物を原料、生理活動に必要な物質を製品としましょう。工場の機能が低下すると、いくら よい原料が運ばれても、製品がなかなかできなかったり、不良な製品しか作れなくなります。人体では、これは必要な物質が不足し、使えない不必要な物質が貯まった状態になります。 たとえば、少ししか食べないのに太りやすく、疲れやすいタイプの人はこの状態つまり脾のはたらきの低下が考えられます。

脾はエネルギー生産工場

二つめは、水分代謝です。

人間の体の70%は水分ですから、水分代謝は重要なはたらきのひとつです。脾は飲食物から必要な体液成分を作り出し、ポンプのように全身に運搬するとされます。水太りタイプの人は、やはり脾のはたらきが低下し、水分代謝がうまくいってない場合がしばしば見られます。

三つめは、飲食物から作った生理活動に必要な営養物質を上部に運んだり、内臓などを定位置に保つはたらきです。

脾は中焦に あるため、飲食物から作った営養物質を上焦にある心・肺や頭など体の上部に運びます。また重力に逆らって内蔵を定位置に保ったり、皮膚や筋肉がたるまないようにしています。力みすぎて頭がぼーっとするのは、一時的に脾が栄養物質を上部に運ぶ力が低下するためです。また産後の脱肛や病後の内臓下垂、あるいは年を取って皮膚がたるんでくるのも、脾のこのはたらきが低下するためです。

四つめは、血液が脈外に漏れ出ないように管理するはたらきです。

は「脈中を流れる」 ことが大前提です。もし血が血脈外に漏れ出ると鼻血や皮下出血がおこります。また脈外に漏れ出てしまった血は本来のはたらきができないばかりか、内臓や皮下に溜まって汚い血に変化し、気の流れや代謝を阻害して、痛みなどの原因になったりします。 出血傾向になれば当然、血の絶対量も減少しますから、血液不足の症状も現れます。

たとえば、ぶつけた覚えがないのにあざができやすかったり、きれいな赤い血がだらだら少量ずつ出る鼻血や不正出血があれば、このはたらきの低下が疑われます。

五つめは、皮膚や筋肉、四肢を主るということです。

三つめのはたらきの皮膚や筋肉がたるまないようにする、というのにも通じますが、脾がこれらを主ることで、はりのある肉体を保つことができます。胴体の割に手足が痩せていたり、太っている場合、往々にして脾のバランスの崩れがあると考えられます。

九竅の内、脾と関連があるのはです。脾は五臓の中でも飲食物と密接な関連のある器官ですから、飲食物を取り込むための口に開竅すると考えられています。脾のはたらきが低下すると、食欲不振 や味がわからないなど飲食物の摂取に異常が現れることがあります。

は口に通じており、同様に脾と関連の深い器官です。脾のはたらきが低下し、食欲不振などが現れると、同時に唇が乾燥したり、口角炎になる場合が見られます。

思うという感情は脾が一番に影響を受けます。たとえば、片思いで苦しい時や心配事がある場合、食欲減退が見られたりします。これは、思いすぎて脾のはたらきが低下してしまうためと考えられています。

脾のバランスが崩れていると、顔色や皮膚が黄色くくすみます。これは脾がと関係しているからと言われています。 私たち日本人は黄色人種ではありますが、ファンデーションのオークル感の強いものが馴染んできたり、くすみが強い場合は、脾のバランスの崩れが考えられます。

土用には夏バテしないよう鰻で元気をつけましょう!とは、江戸時代、エレキテルで有名な平賀源内が鰻屋さんに頼まれて作った歴史に残るコピーですが、確かに夏バテが気になる時期です。土用は、暑さだけでなく湿気も多くなり、この湿気は脾に影響を与えます。脾はもともと湿の影響を受けやすく、バランスを崩します。脾がバランスを崩すと、食欲不振になって営養物質の原料が摂れなくなるだけでなく、営養物質を作るはたらきや水分代謝も低下しますから、だるさやむくみが見られ、また上部に持ち上げる機能の低下で昇降のバランスが崩れ、下痢や嘔吐なども見られるようになります。

疲れた時、甘いものを食べると元気になります。現代医学的にも、糖分が解糖系に入りエネルギーができるため元気になることは知られています。甘味には補うはたらき があるとされ、これが体の工場である脾に作用することで元気になると考えられています。但し、 甘味の過剰摂取は湿を生みやすく、逆に脾のはたらきを悪くします。また糖尿病などがある場合の疲れには、中国医学的にも別の原因が考えられ、甘味ではよくならない場合もありますので注意しましょう。

脾はなくてはならない工場です。いつまでも正常に稼働できるよう大事にしましょう。

 

肺は清浄と潤いを好むはたらきもの五行の色体表の「金」には肺・大腸があたります。肺にはたくさんの重要なはたらきがあるりますが、これは上焦に位置する器官としては全て必然的なものです。

一つめは、呼吸と全身の気の生成や循環を主るはたらきです。

人間が通常無意識に行っている呼吸は、現代医学同様肺が管理をしていると考えますが、のみならず中医学では、宗気の生成や全身の気の循環も肺によると考えます。肺は「清いものを好む」といわれ、大気から清浄な気を取り込み、代謝により生じた老廃物などを濁気として排出しているとされます。ですから、空気の汚染された場所で生活したり、喫煙等で肺を清浄に保てなくなると、肺のはたらきが低下して、咳や痰の原因になったり、ひどい場合には呼吸困難や喘促になる場合もあります。また大気から取り込んだ清浄な気は、宗気の原料にもなります。宗気は推動作用により、代謝や血行を促進したり、呼吸や発声に関与していますから、肺のバランスが崩れると呼吸器系や循環器系ににも症状が現れることがあります。

二つめは、体表に通じ、営養物質や老廃物を体表に運んだり、皮膚呼吸を調節するはたらきです。

肺は体表に通じており、表面に向けて散らすことができるとされ、脾で作られた営養物質を運んだり、皮膚呼吸によって老廃物を排出させているとされます。また衛気を体表に運び、外界の環境の変化に対応して体を守ったり、必要以上に体表から営養物質が漏れないよう管理したり、皮膚を潤したりしているとされます。 たとえば、乾布摩擦は、肺が通じている体表を鍛錬することで肺を強くし、抵抗力をつける目的があります。

三つめは、営養物質を下降させるはたらきです。

中焦に位置する脾で作られた営養物質は、上焦にある肺に運ばれてから全身に運ばれます。肺が取り込んだ大気中の清気も、このはたらきにより肺より下に運ばれます。この下降させるはたらきと、体表に散らすはたらきにより、肺が全身に営養物質を運ぶと考えられています。また肺自体に大気中の清気を下降させ、「清いものを好む」肺の中を清浄に保ちます。肺の上から下に向かって清気が流れ込むことで、自然と濁気が排出されます。

四つめは、体液成分の運搬です。

肺は上焦にあることから「水の上源」ともいわれ、三焦を通して、全身に体液成分を運ぶとされます。 風邪や鼻炎になると、鼻水や痰など呼吸器系に正常でない水分が出ますが、これは肺のこのはたらきが低下するためと考えます。

五つめは、全身の血液の気体交換の中心になることです。

肺は「百脈に朝ずる(ひゃくみゃくにちょうずる)」といわれます。これは体にある全ての経絡や脈が肺に集まり、その中を流れる血液など人体の構成成分は、肺で清濁の交換をするとされるからです。現代医学でも、大静脈から心臓を経て肺に運ばれた血液は、肺で酸素を受け取って再び心臓に戻り、大動脈を通って全身に運ばれると考えますから、同様に考えることができます。

六つめは、呼吸・代謝機能・血行をコントロールするはたらきで、治節作用(ちせつさよう)といいます。

も代謝機能や血行をコントロールしていましたが、肺はまた別のコントロールを行っていると考えます。昇降出入の上下の関係の例でもお話ししましたように、肝と肺で昇降のバランスを保っています。 中医学では、五臓六腑はそれぞれ独立してはたらくのではなく、協力しあって成り立つと考えますが、これもそのひとつの例でしょう。

肺は皮毛と関連があるとされますが、肺は体表に通じ、皮膚呼吸などに関与していることからも理解しやすいと思います。

悲しみ憂いの感情は。肺に最も影響を与えます。悲しみや憂いが大きすぎたり、長期間継続すると、肺気を消耗し、肺のはたらきを低下させるといわれます。時代劇などで、深い悲しみの末、労咳(ろうがい=結核)などの肺病になってこの世を去るお話などがありますが、過度の悲しみによって肺のはたらきが低下したことによる例として適当でしょう。

その肺病に罹ると、顔色や皮膚の色が抜けるように白くなりますが、これは肺がと関係があるからといわれます。

になると空気も乾燥して澄み渡り、木の葉は枯れ、私たちのお肌も乾燥し始めます。肺は「清いもの」とともに「潤い」も好みます。言い換えれば、秋の乾燥は肺に最も影響します。そのため、肺の主る皮膚に乾燥がよく見られたりします。

クールなもの、ホットなものに関わらず、辛いものを食べると毛穴や汗腺が開いて、涼しくなったり、汗が出たりします。辛味には発散のはたらきがあり、適度に摂るとこで肺の散らすはたらきなどを促進します。寒さの影響を受け、筋肉や皮膚が縮こまり、鳥肌が立ったり、血行が悪くなって顔色や唇、皮膚の色などが悪くなっている時、辛いスープなどを食べると、体が温まり、汗が出て、寒さを吹き飛ばしてくれます。しかし、辛味の取りすぎは、肺のはたらきを必要以上に促進させ、必要なものも散らしてしまうので気を付けましょう。

体の気体交換だけでなく、肺には他にも重要なはたらきがたくさんあります。肺のためにも、住み良い環境を作るよう努力したいですね。

 

五行の色体表の「水」にあたるのは腎・膀胱です。腎臓のことを関西では「まめ」と呼びますが、豆は種であり、生命の根源です。腎も生命活動の源と して、数々の重要なはたらきがあります。

一つめは、生命活動の源である先天の精の貯蔵です。

先天の精は、受精の時、両親から受け継ぐ有限のエネルギーですが、これは腎に貯蔵されます。受粉により作られた種は、生命の根源であるエネルギーを貯えています。受精の折、両親のどちらか一方あるいは両方に、不摂生や肉体疲労、ストレスなど心身に問題があれば、子供に充分なエネルギーを与えることができない場合があります。妊娠は女性特有のものですから、生まれてきた赤ちゃんが未熟児だったり、虚弱だった場合、母親の責任が問われがちですが、父親にも責任は十分ありますのでお忘れなく。

腎は両親から受け継いだ生命エネルギーを貯えている

この先天の精は有限のものですから、成長とともに減少してゆきます。それを補うのが、体の工場である脾で作られた後天の精です。授乳期が終わり、普通の食事が摂れるようになれば、子供も自分でエネルギーを生産・供給しますから、それがうまくはたらけば、例え先天の精が不十分であっても、必ずしも虚弱なままとは限りません。年齢を重ね先天の精が減少してゆくと老化が起こります。これにより、腎の主る器官に老化現象が現れやすくなります。

二つめは、体液成分と水分代謝の中心であるということです。

も 水分代謝や体液成分の生成・運搬に関わっていますが、中心となるのは腎だと考えられています。現代医学でも腎は、原尿を一日に180リットル作り、尿の再吸収や排泄を行うとされています。中医学では、体液成分の貯蔵、運搬、排泄、再吸収の調節を行っていると考えられます。ですから、年齢の増加に伴い腎のはたらきが低下すると、尿の排泄に関連する諸症状の他、体液成分の不足により、口の渇きや喉の乾燥が見られることがあります。

三つめは、尿道・生殖器・肛門を主るはたらきです。

中医学では、尿道と生殖器を前陰(ぜんいん)、肛門を後陰(こういん)といい、合わせて二陰(にいん)といいます。これらは腎がコントロールしていると考えます。加齢に伴い、排尿困難や尿漏れなど尿に関する症状とともに、慢性の便秘や下痢、精力減退が見られたりしますが、これは腎のはたらきの低下により、二陰をコントロールするはたらきが低下するためです。

四つめは、深い呼吸を管理するはたらきです。このはたらきは肺の主る吸気と区別するため、納気作用(のうきさよう)といわれます。

通常の呼吸はが主っていますが、中医学では、深呼吸など体の深い部分への呼吸は腎も関与していると考えます。腎は下焦に位置しますから、肺が取り込んだ気を更に下部まで引き込 んで貯えることができます。小児あるいは老人性の喘促のでは、息を吸うのが困難な場合がよく見られます。これは先天の精の不足により腎のはたらきの低下して、深く吸い込むことができなくなるからと考えられます。

五つめは、骨や髄を主り、脳のはたらきに関与するということです。

中医学では、骨や髄は腎精から作られ、脳は随によって補われていると考えます。そのため、。加齢により腎精が不足すれば、骨粗鬆症になったり、骨髄の造血機能が衰えて貧血になったり、あるいは脳が養われず、物忘れが多くなったり、ひどいと痴呆症になる場合があります。

腎は九竅の中の三つの器官と関連があるとされます。耳・二陰がそれにあたりますが、加齢など腎のはたらきの低下で最も影響が出やすいのもこれらの器官です。

腎はとも深い関係があります。昔、某製薬メーカーの育毛剤のCMで、「髪は血余(けつよ)といわれる 」というのがありました。これから考えると肝と最も関係がありそうです。ここでちょっと思い出して下さい。肝血は腎精からも作られていました。加齢に伴い、白髪や抜け毛が多くなるのは、腎精の不足により血余である髪も養われなくなるからです。

驚き恐れの感情は、腎に最も影響を及ぼします。過度の驚きはパニック状態をもたらしますが、そうなると腎の気は乱れ、うまくはたらくことができなくなります。あまりにびっくりしたために、錯乱してしまうのは、驚きすぎたために腎の気が乱れて、脳をうまく管理できなくなるかと考えられます。お化け屋敷や恐怖映画を見て怖さのあまり失禁したり、恐ろしい体倦の後、突然白髪になることがあります。これは過度の恐れにより、腎の腎精を貯蔵するはたらきが低下してしまうためと考えられます。

腎のはたらきが低下したり、バランスが崩れると、顔色や皮膚の色が黒ずんだりすることがあります。これは腎がと関連があるからと考えられます。

現代医学でも、腎臓と血圧の関係はよく知られており、しょっぱい味の取りすぎは高血圧の原因のひとつとされています。鹹味(かんみ)には潤すはたらきがあるとされ、体液成分や水分代謝の中心である腎と深い関わりがあるとされます。しょっぱいものは、潤して塊を砕いたり、便通をよくするとされますが、腎は二陰を主っていることからも関連が伺えます。

になると植物の成長は緩やかになり、秋に結んだ実の中に種を宿します。このはたらきは腎ととても似ています。しかし冬の寒さは、腎にある生命活動の源である熱エネルギーを容易に傷つけやすく、冷えにより腎のはたらきが低下することがあります。

腎の健康を保つことができれば、いつまでも若々しく元気に過ごせるということです。天寿を全うするまで元気に楽しく生活するため、腎を健やかに保ちましょう。

 

蔵と蔵の関係

五臓のひとつひとつのはたらきについてお話ししてきましたが、中医学ではそれぞれの臓腑はそれ自体で成り立っているのではなく、その他の器官と関わり合いながらバランスを保っていると考えます。 臓の数は 五つですから、臓と臓の組み合わせは十通りになります。

 

肝と心(木ー火)

肝と心は相生の関係にあります。肝は精神や情緒面をコントロールしたり、血液を貯蔵しています。心は精神や思惟活動の大元であり、血液や血行も主っています。どちらも精神活動と血液に深い関連があります。

ストレスは肝に影響しやすく、それにより精神面のコントロールがうまくはたらかなくなると、心にも影響が現れます。たとえば、いやだと思っている場所を通ろうとすると、動悸がしたり、胸が苦しくなったりするのは、ストレスのせいで肝のコントロールが悪くなり、心に宿る神に影響が出るためです。

肝血のストックの減少も、心のはたらきに影響を与えます。たとえば、月経などで肝血が不足すると、イライラや不眠など心のはたらきに影響が見られる場合があります。

 

肝と脾(木ー土)

肝と脾は相剋の関係にあります。脾は飲食物から営養物質を作ったり、血液が脈外に漏れ出ないよう管理しています。肝は血液を貯蔵するとともに、脾の代謝機能をコントロールしています。

ストレスなどで肝のコントロール機能が低下すると、脾のはたらきにも影響が現れ、食欲不振や代謝機能の低下で営養物質の生産が落ちたりします。長期のストレスで食事が摂れなくなったり、ストレス太りするのは、肝のコントロールがうまくいかず、脾のはたらきが低下するためです。

脾のバランスが崩れて営養物質の生成が減少したり、血が脈外に漏れ出るのを抑えられなくなると肝血も不足します。肝血が不足すれば、脾を養ったり、コントロールするはたらきも低下するため、更に脾のバランスを崩します。例えば、無理なダイエットで充分な食餌を摂っていないと、貧血症状の他、皮下出血や鼻血、歯茎からの出血などが見られることがあります。

 

肝と肺(木ー金)

下焦にあり、「木」に属する肝の気は上に向かっていますが、肺は上焦に位置し、下降させるはたらきがあります。肝と肺は昇降のバランスを保っています。

肝のはたらきが必要以上に亢進すると、肺の下降のはたらきが相対的に負けてしまうことがあります。緊張した時に咳が出たり、えづいたりするのはこのためです。

 
肝と腎(木ー水)

肝と腎はともに下焦に位置し、肝は血液を、腎は腎精を貯蔵しています。 肝血は有限である腎精を補い、腎精は肝血を作り出し、互いに補い合っています。これを肝腎同源・精血同源といいます。

たとえば、加齢により腎精が不足すると、腎精から補われる肝血も不足し、肝が主っている目に影響が出て、老眼になったり、かすみ目や眼精疲労が起こりやすくなります。また月経で肝血が不足すると腎精も不足し、耳鳴りや抜け毛が増えるなど腎が主る器官や場所に影響が出ます。

 
心と脾(火ー土)

心は精神や思惟活動の大元であり、血液や血行も主っています。脾は営養物質を作たり、血液が脈外に漏れ出ないよう管理しています。

中医学では、「気は血の帥(きはけつのそつ)」「血は気の母」といい、気が血を推動作用によって押し流し、血が体を養うことで気を生むとされます。心は脾で作られた血を全身に循環し、脾はその血によって養われ使用物質を作り出すことができます。脾は血を作るだけでなく、血が脈外に漏れないようにして、心血の必要以上の消耗を抑えています。心血は神を養い、精神活動を正常に行えるよう管理します。

たとえば、疲労などにより血行が悪くなると、五臓などの器官も神も養われなくなり、なかなか疲労が回復しなかったり、ちょっとしたことでイライラしたり、気疲れしやすくなります。また心労などで心血を消耗しても、脾が養えなくなり、貧血症状とともに食欲不振なども現れることがあります。

 
心と肺(火ー金)

心も肺も上焦に位置し、心は血の、肺は気の、運搬や代謝の中心的なはたらきをしています。血は気の推動作用により循環しており、血は肺の気体交換によって営養物質と老廃物を交換しています。現代医学でも、心と肺が血液循環と呼吸器において互いに作用しあっているとされ 、よく動悸と息切れが同時に起こることからも理解しやすいでしょう。

心疾患では顔にむくみが見られる場合がありますが、これは心のバランスの崩れが肺にも影響し、肺の体液成分の運搬のバランスが崩れるためです。過労などで肺のはたらきが低下した場合、体表を主ることができなくなり、少し動いただけで疲れやすく、心の液である汗がだらだら漏れ出ることもあります。

 

心と腎(火ー水)

心と腎はそれぞれ「火」と「水」に属し、正反対の性質を持ちます。心が上焦、腎が下焦で位置関係は逆になりますが、これは五右衛門風呂の原理にそっくりです。五右衛門風呂は、竈に薪をくべて火を焚き、バスタブにはった水を沸かします。バスタブの水は沸くと湯気を出します。

これを心と腎の関係に当てはめると、心が竈、腎がバスタブとなります。心と腎が程良いバランスを保っていれば、丁度良い湯加減を保ことができます。しかし、竈の火が強すぎたり、バスタブの水が少なければ、 お湯は熱くなりすぎますます。逆に、竈の火が弱かったり、バスタブの水が多すぎると、お湯は沸きません。

たとえば、心労が続くとイライラしたり、眠れなくなることがりますが、これは竈の火が強くなりすぎた状態です。このままではバスタブの水を消耗しやすく、腎にも影響が及んで、耳鳴りなども現れたりします。また大病の後など、 尿の出が悪くなったり、むくんだりすることがありますが、これはバスタブの水が多すぎる状態です。このままでは心の生理機能にも影響して、眠りが浅くなったり、動悸がするなどの症状が現れることがあります。

 
脾と肺(土ー金)

脾は営養物質を作り出し、水分代謝を主っています。肺は気の生成や循環を主り、体液成分の運搬をしています。

中医学では、「肺は主気の枢(はいはしゅきのとぼそ)」「脾は正気の源(ひはせいきのみなもと)」といわれます。 「枢」とは枢軸という意味ですが、肺は呼吸や全身の気の生成や循環を管理し、気の中心的なはたらきを担 うためこのようにいわれます。脾は飲食物から生理活動に必要な気を作り出し、正に気の根源です。また肺も脾も体液成分の生成・代謝・運搬に関与しています。

食事の不摂生が続き、脾のはたらきが低下すると、水分代謝も低下し、痰が肺に貯まります。また長い間咳が続いたりすると肺のはたらきが低下し、全身の気の循環が悪くなり、脾気も不足して食欲不振になる場合があります。

 
脾と腎(土ー水)

腎と脾は、先天の本と後天の本として互いに補い合っていることは、気血津液学説・精と神でお話しした通りです。両親から受け継いだ有限の腎精は、飲食物から作られる脾気によって補われます。腎の熱エネルギーは、温めることで脾のはたらきを促進させます。

無理なダイエットにより、月経が来なくなったり、老化と同様の現象が見られたりするのは、脾が腎を補うことができなくなるために起こります。加齢などで腎のはたらきが低下すると脾にも影響し、少食になったりします。

 
肺と腎(金ー水)

肺は上焦に位置し、呼吸を主ったり、体液成分の運搬しています。腎は下焦にあって、深い呼吸を主り、体液成分と水分代謝の中心的なはたらきをしています。

中医学では、「肺は気の主」「腎は気の根」といわれ、呼吸は肺と腎により管理されているとされます。また 「肺は水の上源」「腎は主水の臓」ともいわれ、互いに体液成分や水分代謝にも関わっているとされます。

小児や老人性の喘促では、腎精の不足により肺と腎の呼吸のバランスが崩れ、息を吸うのが苦しくなることがあります。これに伴い水分代謝も低下し、痰が多くなったりします。 喘促の発作時には、気管支拡張剤などの内服薬やエアロゾルとともに水分の摂取を指示されますが、普段からの水分の摂りすぎは水分代謝に影響が出て、逆効果になることもあるので注意しましょう。

 
蔵と腑の関係
五臓六腑は表裏関係にあるため、五行の同じ属性にある臓腑同士は互いに影響しあっています。そのため、一方のバランスの崩れやはたらきの低下が、もう一方にも影響を及ぼしやすく、臨床的には双方に症状が現れることがしばしば 起こります。

 

肝と胆(木)

肝は精神や情緒面・消化・代謝機能などをコントロールしていますが、胆の精汁(胆汁)分泌も肝によりコントロールされています。また精汁は肝の余気から作られると考えられています。

激怒すると肝の機能亢進が見られると、頭痛やめまいなどが見られる場合があります。この時、同時に口が苦くなったりすることがありますが、これは肝気が過度に上昇した時、精汁も一緒に上昇するためと考えられます。

 
心と小腸(火)

膀胱炎で排尿困難とともに強い排尿痛や熱感があり、尿の色が褐色になることがあります。この時、口内炎や不眠、動悸、おちつかない感じが同時に現れる場合があります。

これはいわゆる冷えなどで起こる膀胱炎とは異なり、中医学では、心の熱が小腸に移行して小腸が熱を持ったため、清濁の分別ができなくなり起こると考えられます。 口内炎をはじめ心に関連する症状も併発する膀胱炎の場合、根本的な原因は心にありますから、心の治療も行わなければ完治できません。

 
脾と胃(土)

脾は営養物質を上部に運び、胃は飲食物を下降させます。また「脾は燥を喜び、湿を悪う」「胃は順を喜び、燥を悪う」といわれます。脾胃は互いに、相反するはたらきや性質を持ちます。

過労などで脾のはたらきが低下し昇降のバランスが崩れると、相対的に下降が強くなり、下痢が見られることがあります。逆に、冷たいものや生ものの食べ過ぎで胃のはたらきが低下して昇降のバランスが崩れると、今度は相対的に上昇が強くなり、嘔吐したり、げっぷが多くなったりします。

脾は水分代謝に関与しますが、必要以上の湿気はこのはたらきの妨げとなります。胃は飲食物の消化や下降に携わりますが、消化液が少ないなど水分の不足があればそのはたらきが低下します。

 
肺と大腸(金)

肺は営養物質を下降させ、大腸は飲食物のカスや大便を肛門に向かって運びます。

肺の嫌う乾燥した環境で生活したり、風邪などで肺のはたらきが低下したりすると、大腸のはたらきも低下して、皮膚の乾燥や咳や痰など肺の症状だけでなく、大腸の症状である便秘になることもあります。 また便秘があると、肺にも影響が現れ、肺の主る皮膚にふきでものがでたり、肌荒れになることがあります。

 

腎と膀胱(水)

膀胱は、尿の貯蔵や排泄を行っていますが、これは腎の貯蔵、体液成分や水分の代謝、二陰を主るはたらきによってコントロールされています。

ある程度大きくなっても夜尿症が治らなかったり、加齢により排尿障害が見られるのは、腎精の不足により、膀胱のコントロールが難しくなるためと考えられます。 また尿を我慢しすぎると膀胱炎になりやすいだけでなく、腎炎に発展する場合もあります。

 

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