| 切診 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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切診には、脉診と按診の2つがあり、どちらも弁証に重要な診断方法です。脉診は脈拍の状態を診る方法です。按診とはいわゆる触診のことで、皮膚、手足、胸腹部など体の各部位を触れたり、なぞったり、圧迫したりして、その状態を診る方法です。古代において切診は脉診のみを指しましたが、診断方法の発展とともに現在のように脉診と按診を指すようになりました。
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| 脉診 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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脉診は、古くは遍診法、三部診法、寸口診法の三種がありましたが、現在では主に寸口診法を用います。脉診は、脉の深さ、脈拍数、脉の形、脉の勢いなどから、二十八種に分類され、これより身体内部の病変を察知することができます。脉診はそれを行う者の経験と手指の感覚が全てで、理論だけでなく、いかに多くの脉診を実践するかが重要となります。脉診はある程度の理論と技巧があって、はじめて診断のひとつとして用いることができるといっても過言ではないでしょう。
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| 脉象形成の原理 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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心主血脈であり、心臓は拍動することによって血液を血管内に送り出したり、血管内から取り込んだりして、脈拍を形成しています。心臓の拍動と血管中の血液の運行は宗気の推動と関係があります。血は脈中を循行し、休むことなく、全身をくまなく流れています。 また血流は心臓の作用だけによるものでなく、他の臓腑の協力も必須となります。肺朝百脈といわれ、全身の血液は肺に集まりますし、肺主気により全身に血液を行き渡らせます。脾は気血生化の源であり、脾主統血によって血液の脈中の循行を助けます。肝は肝蔵血と肝主疏泄によって血液の循環量を調節しています。腎は生命エネルギーの根源である精を蔵し、精より人体の根本的な陽気を生み出して、各臓腑組織の活動の原動力となります。そして腎精からは肝血が作られます。 このことから解るように、臓腑と気血の密接な関係により脉象が形成されるのです。
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| 脉診の臨床意義 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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脉象の形成には臓腑気血との密接な関係がある以上、臓腑気血に病理的な変化が起これば、血脈の運行に影響が現れ、脉象に変化が現れることは想像に難くありません。従って、脉象を診ることは、疾病の病位などの判断と予後の推察に繋がるのです。 疾病の表現はとても複雑です。しかし、脉象を診ることで、疾病の部位の深いのか浅いのか、疾病の性質が寒なのか熱なのか、あるいは邪正盛衰を推し量り、虚証なのか実証なのか、そして疾病の進行状態はどうなのかなどを知ることができます。例えば、病が表にあれば浮脉となりますが、裏にあれば沈脉となります。寒証であれば遅脈になりますが、熱証であれば数脈になります。実証であれば有力ですが、虚証であれば無力となります。 脉診は疾病の予後に対しても有意義なものです。慢性疾患など長く患っている場合、脉は緩和で、これは胃気が次第に回復し、病が癒える傾向にあることを示します。慢性疾患で気虚であったり、過労、失血、長期に渡る下痢など、一見虚証のような状態にも関わらず、実証で現れる脉象が見られる場合、多くは邪盛正衰に属す危険な状態です。外感熱病で熱が退いていく過程で、脉象が緩和なのは、病が癒えようとする兆候です。反対に、脉が急に早くなって、熱くて落ち着かないようであれば、病が進行しているといえます。また戦汗があって、汗をかいた後脉が静まり、熱が退いて体が冷えてくるのは、病が癒えることを示します。反対に汗をかいた後、脉が早くなって熱くて落ち着かないのは、危篤の状態です。 このように脉象と病の関係は複雑極まりなく、一般的な状況下では脉と病は一致しますが、一致しない特殊な状況も多々あり、臨床上四診合参することが、的確な診断をするためには必要不可欠といえます。
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| 脉診の分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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脉診は脉を取る部位によって以下の3つに分類されます。しかし、現在臨床的には普通寸口脉を取ります。
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| 遍診法 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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遍診法(へんしんほう)は別名を三部九候法(さんぶきゅうこうほう)といい、頭、手、足3つの部位の天地人3箇所の脉、都合9箇所の脉を取る方法です。
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| 三部診法 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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三部診法(さんぶしんほう)とは、人迎、寸口、趺陽の三脉を取る方法で、寸口で十二経を、人迎と趺陽で胃気の状態を探ります。更に足少陰経の太渓穴でも脉が取れるようなら、ここで腎の状態を探ります。
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| 寸口診法 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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寸口診法(すんこうしんほう)とは、橈骨茎状突起の内側にある動脈、すなわち手首の掌側の親指側にある動脈の脉を取る方法で、現在最も一般的に用いられる脉診の方法です。 寸口診法は手首の脉だけで全身の状態を探ることができます。脉を取る動脈部分は肺の経絡が通る場所ですが、肺は「百脈に朝ずる」といわれ、全ての臓腑と関連があります。また肺の経絡は胃を通って全身に巡りますが、胃は飲食物が最初に入る臓腑で、五臓六腑は胃から得た気によって養われています。このことから、臓腑のあらゆる変化は全てこの脉上に反映されます。 寸口(すんこう)は別名を気口(きこう)あるいは脉口(みゃくこう)といい、寸関尺(すんかんしゃく)の三部に分けて取ります。橈骨茎状突起の部分が関脉、親指側が寸脉、肘側が尺脉となります。この寸関尺3脉の浮、中、沈つまり軽く触った時触れる部位、中くらい、比較的強く押し当てた時の3つの脉を取るため、三部九候となりますが、遍診法とは異なります。時代や学説によって、同じ位置を取っても観察できる臓腑が異なりましたが、現在では一般に以下のように定義づけられています。繰り返しますが、脉を取っている動脈は肺経が通っており、各臓腑の経絡が直接現れている訳ではありません。
また、病状が危篤な場合や慢性疾患、虚証、老人、産後などでは、寸関尺を分けずに浮中沈のみを取り、左を心肝腎、右を肺脾命門として診る方法もあります。
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| 脉診の方法と注意事項 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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脉診を行うに当たり、時間帯、体位、指使い、加減、平息、五十動の6つが重要となります。
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| 平脉 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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平脉(へいみゃく)とは、人の正常な脉象をいいます。平脉は、三部に脈拍を感じ、一息4~5回、つまり一分間に72~80回拍動を感じます。浮でも沈でもなく、大きくも小さくもなく、ゆったりと落ち着いて穏やか、柔和で力があり、リズムが一定で、尺脉を沈取すると一定の力があります。 平脈には、胃、神、根の3つの特徴があります。
平脉は体内および外界からの影響を受けやすく、また生理的変化によっても変化します。
この他、健常人の中でも寸口部位では脉が取れず、特殊な部位に脉を感じる場合があります。一つは斜飛脉(しゃひみゃく)といい、尺脉の位置から橈骨茎状突起の背外側を通って、親指背部にある合谷穴まで伸びているものをいいます。もう一つは反関脉(はんかんみゃく)といい、通常の寸口脉の背面で触れるものをいいます。これらは、解剖学的に橈骨動脈が特異的な位置にあるために起こる現象で、病気によるものではありません。
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| 病脉 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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病脉(びょうみゃく)とは、疾病を反映した脉象の変化をいいます。例えば、季節による脈象の変化など正常な生理的変化や、月経などによる脉象の変化など個体の特異的変化以外は、全て病脉に含まれます。 脉診の発展において、医家ごとに脉診の経験が異なるため、脉象の命名が一致せず、専門書には様々な脉象の分類が記載されました。例えば、『脉経』では24種、『景岳全書』では16種、『瀕湖脈学』では27種、『李家正眼』では24種といった具合です。 近代では28種に分類する方法が主流となっています。脉象を浮沈など脉の深さ、遅数など脉の早さ、血流の大小や拍動の強弱など、位、数、形、勢の四方から観察した分類と、これらの組み合わせによる分類を併せて28種に分類しています。 二十八脉を表にまとめました。(前半掲載。次回更新時、後半を追加致します)
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| 病脉の鑑別方法と覚え方 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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二十八脉に分類された病脉ですが、特徴がよく似ていて鑑別が難しいものもあります。以下にポイントを置くと、鑑別しやすくなります。
また相反する特徴の脉を対にすることで覚えやすくなります。
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| 怪脉 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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怪脉(かいみゃく)とは胃、神、根がない脉のことで、他に真臓脉(しんぞうみゃく)、敗脉(はいみゃく)、死脈(しみゃく)、絶脉(ぜつみゃく)ともいわれます。怪脉の多くは、疾病の後期、臓腑の気の衰遏、胃気敗絶などの病証で見られます。元代には「十怪脉」といわれ10種の脉象が挙げられていましたが、後世の医家によって「七絶脉」あるいは「七死脉」と呼ばれる、臨床上遭遇しうる7種にしぼられました。
怪 脉については、最近になって過去の文献が認められたため、薬物で救うことは不可能で、死を疑うことはないとされていました。しかし、医学の発展およびその臨床、研究などにより、その大部分が心拍の乱れによるものであり、心臓疾患により形成されたものだということが解ってきました。しかしながら、一部の機能的に発現する怪脉を除いて、怪脉が見られる場合、疾病が予断を許さない段階まで発展していることを示していることには変わりありません。但し、怪脉が現れたからといって、必ず死に至る訳ではなく、努力次第では治療できるということを忘れてはいけません。
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| 婦人脉 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
女性には、月経、妊娠、出産など女性特有の生理的な変化と疾病があり、特異的な脉象が現れることがあります。生理的なものなのか、疾病によるものか鑑別することが重要になります。
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| 小児脉 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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小児の脉は成人とは異なるので注意が必要です。寸口部が狭く、寸関尺を分けて診ることが困難です。また小児は診察時に、怖がって泣いたり、暴れたりしやすく、気が乱れて脉も乱れ、脉診自体が難しいのが現状です。そこで、脉診よりも体形や面色、肌の色、目・耳・鼻・口などの竅や声を観察することが重要となります。
小児の脉診では一指三部診法(いっしさんぶしんほう)を用います。左手で脉診する小児の手を持ち、右手の親指で観察します。3歳以下の場合、橈骨茎状突起の内側に親指を宛って脉を取ります。4~8歳の場合、橈骨茎状突起を中心として、その前後を合わせた三部に親指を動かして脉を取ります。9歳~14歳の場合、中指と人差し指あるいは薬指など、2本の指を使って脉を取ります。15歳以上の場合は成人と同様の脉診を行います。 3歳以下の小児の場合、人差し指の絡脈を取る方法や、頭・額・胸・腹などを按じる方法もあります。 小児の平脈は、3歳以下では一息7~8回、5~6歳では一息6回です。そのため、5~6歳で7回以上あれば数脉、4~5回では遅脉となります。 小児の場合、浮沈、遅数、強弱、緩急をもって陰陽寒熱表裏と邪盛正衰を鑑別し、二十八脈には拘りません。 浮数なら陽、沈遅なら陰、強弱で虚実、緩急で邪正を測ることができます。数は熱、遅は寒です。沈滑なら痰濁や食滞、浮滑なら風痰です。緊は寒、緩は湿、大小が調ってないのは停滞です。また小児は腎気未充のため、中取までしか感じることができません。それはもともと浮であっても沈であっても同じです。もし、重按して脉が取れるのであれば、成人の牢実脉と同様です。
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| 複合した脉象と主病 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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疾病は非常に複雑で、一種の脉象のみ現れることはほとんどありません。例えば、二十八脉でも、弱脉は虚脉・沈脉・小脉の3種が、牢脉は沈脉・実脉・大脉・弦脉・長脉の5種が複合したもので、いくつかの脉が複合して現れるのが普通です。
浮数脉や沈遅脉など2種の脉が複合したものを二合脉(にごうみゃく)、浮数虚脉のように3種の脉が複合したものを三合脉(さんごうみゃく)、浮数滑実脉のように4種が複合したものを四合脉(しごうみゃく)といいます。脉象はもともと主病に対応したものですから、複合した脉象の場合、複数の疾病の総合的な脉象といえます。例えば二合脉の場合、浮数脉は表熱証を表しますが、浮脉は表証、数脉は熱証をそれぞれ表しています。また浮遅脉は表寒証を表しますが、浮脉は表証、遅脉は寒証をそれぞれ表しています。三合脉では、浮数脉で無力では表虚熱証を、沈遅脉で有力の場合は裏実寒証を表しています。
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| 脉象と症状の特殊な関係 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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一般に脉象と症状は一致しますが、全てにおいてそうとは限りません。場合によっては、脉象と症状が真逆になることもあります。脉象と症状が一致する場合を順、一致しない場合を逆といいます。
実証の症状が見られる場合を例に考えてみましょう。もし、脉が洪、数、実であれば邪実正盛で、正気が充実していて邪気と闘争してる順証と考えることができます。しかし、症状が実証であるにも関わらず、脉が細、微、弱であれば邪盛正虚で、邪が裏に入りやすい状態の逆証と考えることができます。また急性疾患で、脉が浮、洪、数、実であれば、正気が邪気と闘争していることを表す順証、同様に慢性疾患で、脉が沈、微、細、弱であれば、邪気が衰退して正気が回復しようとしていることを表す順証といえます。反対に、新病であるにも関わらず、脉が沈、細、微、弱の場合は生気が既に虚衰していることを表す逆証で、慢性疾患であるのに、脉が浮、洪、数、実の場合は正気が衰退し、邪気が留まっていることを表す逆証といえます。 脉と症状が一致しない場合、脉に従うのか、症状に従うのか、あるいは脉が真で症状が假なのか、脉が假で症状が真なのか、判断する必要があります。臨床では、真假を明らかにし、脉と症状の取捨選択が重要になります。 脉を捨てて症状を採用する場合の例を挙げてみましょう。症状が真で脉が假の場合は、必ず症状に従って脉を捨てる必要があります。腹部の脹満があって疼痛は拒按、大便燥結、舌紅苔黄厚焦燥で、脉遅細の場合、実熱内結胃腸が真です。裏に熱結して血脉の流れを阻滞するので、脉象が遅細になりますが、これは假なので採用しません。 次に、症状を捨てて脉を採用する例を挙げてみましょう。症状が假で脉が真の場合は、必ず脉に従って症状を捨てる必要があります。傷寒病で裏に熱が閉じ込められている場合、症状は四肢厥冷で脉が滑数の場合、熱を反映している脉が真です。熱邪が内伏するため、外に陰を追いやって四肢厥冷が現れますが、これは假と考えることができるため採用しません。 このように、脉は疾病の臨床表現の一部にしか過ぎず、診断を行うための唯一の根拠になる訳ではありません。従って、正確な診断を行うには、四診合参が重要になるのです。
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| 按診の方法と意義 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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按診は古くから弁証に活用されており、『黄帝内経』『傷寒論』『金匱要略』の中にも、按診についての記載を見ることができます。按診は、手で直接病人や患部を触ったり、圧迫したりするため、局所的な異常や変化を理解しやすいのが特徴で、疾病の部位や性質、病情の軽重など、疾病の状況を推察及び判断することができます。
また按診は切診のひとつで、四診の中でなおざりにはできない診断方法だといえます。なぜなら、四診は望診、聞診、問診をベースに、更に一歩踏み込んで切診を行うことで得られる情報があるからです。 按診の手法は大まかに、触(しょく)・摸(も)・按(あん)の3つに分類できます。触は、手指または掌で、額や四肢の皮膚など患者の局所を極軽く接触し、寒熱や潤燥の状態を判断する方法です。摸は、手で腫脹した局所などを撫でさすり、患部の腫れの形態や大きさなど感覚的な状況を判断する方法です。按は、手で胸腹部や腫れのある部位など局所を圧迫し、圧痛の有無、患部の皮膚の状態、腫塊の形態や性質、腫脹の程度、性質などを判断する方法です。 按診を行う場合、按診を行う側は受ける側のことを思いやり、ソフトで尚かつ巧みに行うことが重要です。突然乱暴になったり、冷たい手で触れることは避けましょう。寒い日や手が冷たい場合は、先に手を温めておいてから行うようにします。また按診を行いながら、患部の状態がどう変化するかなど質問をし、按診を受ける側が感じる感覚の変化などもきちんと訊きましょう。按診を行いながら、同時に観察することも怠らず、按診を受けている側のちょっとした表情の変化などから、苦痛を察知する努力も惜しまないようにします。
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| 肌膚の按診 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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皮膚の按診を行う意義は、全身の肌表の寒熱や潤燥、腫脹などの状況を探ることにあります。
一般に、陽気が盛んであれば体は熱いことが多く、陽気が衰えていれば冷えている場合が多く見られます。肌表の按診は、その冷えや温かさから寒熱だけを知るのではなく、熱の大小から表裏や虚実を特定することができます。例えば、肌膚を按じた当初はとても熱く感じるのに、長く按じていると徐々に熱が冷めてくる場合、熱は表にあると考えることができます。反対に長く按じた方が、熱を甚だしく感じる場合は、内熱があって外に向かって蒸発している実証といえます。 肌膚に潤いがあって軟らかく、喜按であれば虚証で、患部が硬く、痛みがあって拒按であれば実証といえます。軽く按じても痛い場合は表の浅い部分に病があり、深く按じた方が痛む場合は深い部分に病があると考えられます。 皮膚が乾燥しているのは未だ発汗しておらず、干涸らびているのは津液不足、湿潤しているのは発汗している状態です。 強く按じると腫脹がある場合、水腫か気腫かを弁別する必要があります。按じると陥没してなかなか戻らないのは水腫、陥没してもすぐ戻るのは気腫です。 できもののある部分が、硬く腫れて、熱感のない場合は寒証で、熱感を伴う圧痛のある場合は熱証です。患部とそうでない部分の境界がなく平なものは虚証で、境界がはっきりしていて高く隆起しているものは実証です。患部が硬い場合、多くは化膿していません。周囲が硬くて中心部が軟らかい場合は化膿しています。肌肉内部の化膿を探るには、できものの両脇に手を添え、軽くあるいは強く圧力を掛け、液体の動く感触があるかないかを探ります。液体の感触があれば化膿しており、更に化膿した部分の大きさや、膿の量がどうかを探ります。 古代の書物には尺膚を按診する方法の記載があります。尺膚とは、肘の内側から手の小指側にかけてをいい、外感病の場合、尺膚に熱感があれば、多くは温熱病といえます。
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| 手足の按診 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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手足の按診は主に寒熱を確認するために行います。一般に、手足ともに冷えている場合は陽虚陰盛で寒証に属します。手足ともに熱いのは陽盛または陰虚で熱証に属します。特に注意しなければならないのは内熱熾盛で、裏に陽が鬱滞して表面に到達しないために四肢厥冷となりますが、これは実熱証です。
手足の按診では外感と内傷を区別することもできます。手足の外側が比較的熱い場合は外寒発熱、内側が比較的熱い場合は内傷発熱と判断できます。 また、掌の熱と額の熱を相互に診ることで、表熱と裏熱を区別することができます。掌に比べて額が熱い場合は表熱、反対に掌の方が熱い場合は裏熱といえます。 小児科の範疇では特殊な診断もあります。小児の指先が冷たくなるのは主に驚厥(きょうけつ)とされます。驚厥とは、急激で甚だしい精神刺激により、気血が乱れて昏倒し、人事不省になる状態をいいます。この他、中指だけが熱いのは外感風寒、中指の先だけ冷えるのは天然痘が正に発症しようとする兆候です。 手足の寒熱を確認することは、言い換えれば陽気の存亡を確認することであり、重要なのはどこの陽虚で、予後はどうなのかということです。陽虚証であっても四肢が温かければ、陽気はまだあると考えられ、予後は良好です。しかし、四肢厥冷するようであれば予後はよくない場合が多く見られます。
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| 胸腹の按診 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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胸腹は以下のように分類されます。
胸腹部の按診は、局部の病変の状況を理解するために行います。胸前部から脇および腹にかけて触れたり、圧迫したり、必要に応じて叩いたりして確認します。 胸腹部の按診は、虚里、胸脇、腹の三部について行います。
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