神(しん)には、広義、狭義2つの概念があります。
広義の神とは、すべての生理活動を主宰し、それを体外に表現するもの、すなわち肉体的、精神的な生命活動の現れすべてを意味し、五感、発声、行動、精神状態、意識などがこれに当たります。
狭義の神とは、精神活動そのもの、つまり精神、意識、思惟活動などを指します。
中医学の重要な診断方法のひとつに望診(ぼうしん)というものがあります。これは目視によって状態を知る方法ですが、この中には広義、狭義両方の意味での神を観察する望神(ぼうしん)というものがあります。いきいきとしている状態を有神(ゆうしん)といい、心身ともに健康な状態、あるいは現在病気であっても予後がよいと判断される状態をいいます。反対に、見た目に精彩を欠き、心身ともに弱々しい状態を無神(むしん)といい、肉体的、精神的に不調のある状態をいいます。有神、無神を見分ける最も簡単な方法は目の観察です。日本でも中国でも「目は心の窓」といわれ、医学的知識がなくても、身体や精神の状態を知ることができます。
有神 | 無神 |
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心身ともに健康で、輝いている状態 | 心身に元気がなく、精彩を欠いた状態 |
目に力や輝きがある | 目がどんよりしている |
表情が豊か | 無表情または表情が乏しい |
感情表現がしっかりしている | 感情表現ができない |
会話がきちんとできる | 会話が成立しない・意味不明なことをいう |
問いかけに反応する | 問いかけに反応しない |
声に力がある | 声が弱々しい・声が出ない |
呼吸がしっかりとして安定 | 呼吸が弱い・呼吸が乱れる |
顔や皮膚の色つやがよい | 顔や皮膚の色がくすんでハリがない |
体に力を入れることができ、しっかりした姿勢を保てる | 体に力が入らない |