【五臓】腎の生理機能

腎には4つの大きな生理機能があります。

  1. 腎蔵精
  2. 腎は受精した時に両親から受け継いだ生命活動に欠かせない有限の先天の気すなわち腎精をストックしており、この作用を蔵精(ぞうせい)作用といいます。

    蔵精作用が正常であれば、臓腑器官を滋養することができ、心身の発育、成長も良好で、生殖能力も充実して次の世代に命を繋ぐことができます。しかし、蔵精作用の失調は生命活動の低下を招き、発達障害、早期の老化、不妊などの症状が現れます。

  3. 腎主生殖
  4. 生殖(せいしょく)とは、生長・繁殖という意味で、蔵精作用のある腎は生長・発育・生殖を統括しています。先天の気からは生殖機能を促進・維持する天癸が生じ、これが満ちると生殖機能を有するようになり、天癸の衰えとともに生殖能力も衰退します。

    先天の気が不足すると、第二次性徴を迎える年齢になっても天癸が充実せず、初潮が来ない、月経が遅れる、精子の数や運動量が少ないなどの症状が現れます。

  5. 腎主水
  6. 主水(しゅすい)作用とは水液代謝を調節する機能で、脾の運化水液作用肺の宣発・粛降・行水作用も腎の主水作用に依存しています。腎には人体に必要な津液と不要な湿濁(しつだく)に分別し、必要なものはリサイクルし、不要なものは尿として体外に排泄する機能があり、これを蒸騰(じょうとう)作用または気化作用といいます。

    主水作用が失調すると、人体を滋養して潤し、乾燥から防ぐ津液の循環や運搬の低下もしくは排泄すべき湿濁の停滞が起こり、相反する症状が現れます。津液の循環、運搬の低下では、のどや口の乾き、皮膚や粘膜の乾燥、多尿、大便の乾燥などの症状が、反対に湿濁の停滞では、体が重だるい、むくみ、尿量減少、下痢や軟便などの症状が起こります。

  7. 腎主納気
  8. 現代医学では、呼吸は肺が行う機能ですが、中医学では、呼吸は肺と腎が協力して行っていると考えます。納には収め入れる、固め取り込むという意味があり、納気(のうき)作用とは肺の主気作用によって取り込まれた大気中の清気を腎が摂納する機能をいいます。人体上部にある肺は主に呼気を、人体下部にある腎が吸気を主るとされます。

    腎の納気作用は先天の気いいかえれば腎精によって行われるため、生まれつき先天の気が虚弱だと小児喘息を、加齢により腎精が不足すると老人性の気管支喘息を発症することがあります。どちらの場合も息を吸うのが苦しくなりますが、これは正に気を納める作用の低下により起こる症状です。