陽気化、陰成形:陽は気と化し、陰は形を成す

中医学の基礎理論のひとつである陰陽論では、冬と夏、寒と熱、右と左、臓と腑、静止と活動というように、相反する性質の陰と陽が存在し、陰陽が対立や転化することで、自然界の営みや生命活動が維持されると考えます。

陽が動くことで揮散して目に見えない小さな粒子になります陰が静まることで凝縮して目に見える形を作り出します。

海の水が陽の光に照らされて温まると水蒸気となって空に昇ります。上空で冷えた水蒸気は雲となり、雨を形成して地上に降り、雨はやがて海に帰ってゆきます。このように陽が目では確認できないエネルギーを作り出し、陰によって目に見えるものが形作られ、自然界は絶えず循環を繰り返します。

この現象は自然界に限ったものではなく、人体の生理活動の中にも見ることができます。心腎を例に考えると、五行の火に属する心は陽に、水に属する腎は陰になります。心陽は腎陰を温めて生理活動に必要なエネルギーを作り出しますが、陰陽が熱すぎると腎陰は涸渇してしまいます。そこで腎陰は心陽が必要以上に熱くならないよう冷却することで正常な生理活動を維持しています。

陰陽がバランスを保ちつつ互いに作用するこが心身の健康に繋がります。このバランスが崩れないよう予防するのが、中医学の原点である未病先防(みびょうせんぼう)の基本になります。