五臓の特徴でも説明しているように、特定の臓と腑の間には密接な関係があります。これを表裏関係といい、生理活動で協力しあうと同時に、一方の病がもう一方に影響しやすいという特徴があります。
- 肝と胆
- 心と小腸
- 脾と胃
- 肺と大腸
- 腎と膀胱
消化を助けるため胆から小腸に分泌される精汁すなわち胆汁は肝の余気から作られ、肝の疏泄作用によって分泌の調節が行われます。
過度の怒りや飲酒で肝の疏泄作用が失調して昇発のバランスが崩れると、胆が分泌する精汁も人体上部に逆流するため、口が苦い、黄色い水液を戻すなどの症状が現れます。ストレスなどで肝の疏泄作用が低下し、精汁の分泌ができなくなるると胸脇部の刺し込みや黄疸が現れます。
心合小腸。
心と小腸は経絡によって連絡しています。小腸は同じく経絡を介して膀胱とも繋がっています。そのため心の熱を尿として膀胱から排泄することができます。
夏の暑さは心に最も影響しますが、経絡を通して小腸、膀胱と影響することで膀胱炎を発症することがあります。この場合は膀胱の炎症を抑えるだけでは不十分。おおもとの原因である心の熱を冷ますことで膀胱炎の症状を改善することができます。
脾合胃。
脾と胃は飲食物と深い関係があり、相反する機能を持ちながら絶妙なバランスで生理活動を営んでいます。胃は受納によって口から入った飲食物を胃に収納し、脾は運化によって飲食物を生理活動に必要なものに変化させています。脾には運化水液作用があり湿を嫌いますが、常に飲食物や消化液で満たされている胃は乾燥を嫌います。また、脾は重力に逆らって栄養物質を人体上部に持ち上げる昇清作用や、内臓を定位置に保つ昇提作用があり、胃は消化した飲食物を小腸に下降させる和降という機能があります。
湿気によって脾が傷つき脾の昇清作用が低下すると、上昇と下降のバランスが崩れて相対的に下降が強くなり、慢性的な何遍や胃下垂などの内臓下垂が起こります。
肺合大腸。
肺と大腸は経絡によって連絡し、大腸が飲食物のかすを肛門に向けて運搬する伝導相搏の機能は、肺が水穀精微を下降させる粛降作用と関係があります。
発散の性質が強い辛いものは肺に最も影響し、過食すると肺の津液を損なって肺を乾燥させます。この乾燥は系絡を通して大腸にも及び、大便が乾燥して排便困難になります。
腎合膀胱。
腎と膀胱は経絡によって連絡し、膀胱の貯蔵尿液・排泄尿液は腎の気化作用によって行われています。
恐怖は腎の気を下して機能低下を引き起こし、膀胱の機能にも影響します。怖い思いをした時失禁するのはこのためです。