陰平陽秘:陰平(おさまり)て陽秘す

生理・病理・診断・治療法則・治療方法・処方など、中医学の全ての理論に一貫して重要なもののひとつに陰陽があります。

陰陽とは中国古代哲学の理論のひとつで、宇宙観、世界観を表現したものです。陰陽は相対的なもので対象によって変化します。人間を例に考えると、女性は陰で男性は陽となりますが、女性の右半身は陰で左半身は陽となり、血液や体液は陰でエネルギーや熱エネルギーは陽となります。

自然界の一部である人体はそれ自体が小宇宙で、人体の中で陰陽が互いに抑制や変化をしながらバランスを保って生命活動を営んでいます。

中医学では体液を津液、熱エネルギーを陽気といい、この2つで考えると、前者が陰、後者が陽になります。津液は皮膚や体毛はじめ各組織や臓腑、骨などを潤して乾燥から防ぎ、滋養し、過度の熱や興奮を抑制しています。陽気は体を温めて体温の維持、調節を行い、生理機能を促進しています。津液の生成や循行には陽気が、陽気の運搬や鎮静には津液が不可欠です。

津液>陽気となると、生理機能が低下するため、やる気が出ない、動くのが億劫、疲れやすい、冷えや冷えを伴う不調が現れます。反対に津液<陽気となると、心身が潤い不足となり、生理機能が亢進して、イライラ、不眠、ほてりやのぼせ、出血傾向などの症状が現れます。このバランスの崩れを治すことが中医学の治療に当たります。津液不足では不足した津液を補うことをベースに、興奮を落ち着けたり、熱を冷ましたりします。陽気不足では陽気を補い、温めて生理活動を活発にします。

季節、環境、性別、年齢などによって陰陽のバランスは変化するので、いち早く対処することで病気を予防することができます。