【六淫】概念と特徴

自然界における風・寒・暑・湿・燥・熱(火)の6つの正常な気候変化を六気(ろっき)または主気(しゅき)といいます。

特定の条件下で六気が人体に病を引き起こす原因に変化したものを六淫(ろくいん)または外邪(がいじゃ)といいます。六淫はそれぞれの気候変化に邪をつけて、風邪(ふうじゃ)寒邪(かんじゃ)暑邪(しょじゃ)湿邪(しつじゃ)燥邪(そうじゃ)熱邪(ねつじゃ)および火邪(かじゃ)と呼びます。

六気が六淫に変化する条件は以下の4つです。

  • 過剰
  • その季節に適した気候変化であっても、過剰になると人体に病を引き起こす原因となります。

    夏が暑いのは正常な気候変化ですが、酷暑では熱中症や夏バテなどの危険が高まります。

  • 不足
  • 反対にその季節に合った気候変化であっても、正常なものよりも弱ければ病の原因になります。

    暖冬だと過ごしやすいように感じられますが、生理活動に必要なものを温存する冬が暖かいと、必要以上に代謝が亢進し、春に備えて蓄えておくべきものを蓄えられなくなります。これは体力や免疫力の低下に繋がり、かぜやインフルエンザに罹りやすくなったり、春に花粉症を発症しやすくなったりする原因になります。

  • 季節にそぐわない
  • 空梅雨、乾燥の秋なのに長雨で湿度が高いなど季節にそぐわない気候変化も病の原因になります。

    空梅雨だとダムの貯水率が低下して節水など生活にも影響が出ますが、気温が高くなる中湿度が低くなると体液を消耗しやすく、後に来る夏の暑さに対する抵抗力が低下し、夏バテの心配も高くなります。

  • 個人の体質
  • 気血津液など人体の構成成分で生理活動に不可欠なものの不足や、臓腑あるいは陰陽の失調があると、たとえ正常な気候変化であってもその人にとっては六淫となり、病の原因になることがあります。

    衛気不足で体表の防御力が低下していると、健康な場合より六気が強く影響してかぜをひきやすくなります。湿に弱いので、脾の機能失調があると梅雨時や颱風など湿度が高い時分にむくみやめまいなどの症状が現れやすくなります。

六淫には4つの特徴があります。

  1. TPOに関連
  2. 六淫は、季節や気候はいうまでもなく、時間、土地柄、居住空間、職場環境などが大きく関係します。

    昼間より夜の方が、また日本よりロシアの方が寒邪を受けやすくなります。炊事場で長くいると湿邪を、溶接を行う場所では熱邪を受けやすくなります。

  3. 単独または複合して侵入
  4. 風邪、燥邪など単独で人体に侵入することもあれば、風湿、温燥、風寒湿など2つ以上の六淫が複合して侵入することもあります。

  5. 侵入後に変化
  6. 寒邪が原因でかぜをひくと、初期には悪寒やくしゃみ、サラサラの水っぽい鼻水などの症状が現れますが、時間が経つと黄色く粘っこい鼻水や痰、温まると悪化する咳などに症状が変化が変化します。これは寒邪が時間とともに熱邪に変化した表れで、初期の場合は葛根湯のような温性のお薬で治療しますが、後半になってから温性のお薬では却って症状が悪化します。

  7. 体表または呼吸器から侵入
  8. 六淫はと関連がある皮膚や体毛などの体表と呼吸器から侵入します。肺為華蓋といわれる所以です。

    例外もあり、寒邪は経絡や筋肉あるいは体内に、暑邪は体内に直接侵入することもできます。