病因のうちで食餌の不摂生が原因となるものを飲食不節(いんしょくふせつ)といいます。
- 飢飽失調
- 過飢(かき)
- 過飽(かほう)
- 飲食偏嗜
- 生冷過食(せいれいかしょく)
- 辛辣過食(しんらつかしょく)
- 肥疳厚膩過食(ひかんこうじかしょく)
- 飲酒過多
- 五味偏嗜(ごみへんし)
- 飲食不潔
食餌の摂取量の過不足。
食餌の回数や量の不足。
原料が不足するので気血の生成が低下し、邪気と戦う正気が不足して病気に罹りやすく、治りにくくなります。また各臓腑も気血不足で機能失調を起こすため、体内からも病気を発症しやすくなります。
過食。食餌の回数や量が過剰。
消化不良により、気の停滞や臓腑の機能失調の状態である気滞、水液代謝低下による病理産物の痰飲水湿、熱邪などの蓄積が起こります。脾や胃に負担が掛かるため脾胃の機能失調も起こります。
偏食。
生もの・冷たいものの過食。
脾陽を傷つけるため運化が失調して、冷えと湿気が複合した寒湿を生じます。
ホットな辛さのあるものの過食。
辛辣のものは温熱性で、発散・発汗・代謝促進・血行促進などの性質があるため、津液を消耗させて乾燥、乾燥による発熱、胃腸の熱の蓄積を起こしやすくなります。
脂っこいもの・甘いもの・味の濃いものの過食。
火邪、熱邪、熱と湿気が複合した湿熱、熱と痰が複合した痰熱などを生じます。また消化不良の原因にもなります。
アルコールの摂取過多。
湿熱を生じて脾や胃の機能失調を引き起こします。脾胃の機能失調では気血の生成が低下するため、心・肝の血液不足へと発展します。
酸・苦・甘・辛・鹹(かん)の五味の偏食。
五味 | 作用 | 五臓 | 適度な摂取による反応 | 偏嗜による病理機序と症状 |
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酸 | 収斂して必要なものが漏れるのを防ぐ 収斂して潤いを保つ | 肝 | 蔵血作用が促進されるため肝血が充実して疏泄作用も促進 | 収斂しすぎることで疏泄作用が低下 のどの閉塞感・胸や脇の詰まり・お腹の脹り・げっぷ・おなら・ため息・イライラ・怒りっぽい・月経不順など |
苦 | 熱を冷ましながら湿気を乾かす 熱を冷まして便通を改善 | 心 | 心火の亢進を抑制して心の機能を正常に保つ | 心陽が損傷して心の機能失調や心と腎との交わりが不調となる 動悸・息切れ・胸苦しさ・むくみ・不眠など |
甘 | 身体を補う 緊張や苦痛を緩和する | 脾 | 運化作用が促進されて気血の生成や水液代謝が活発になる | 運化が失調して水液代謝低下による湿濁の停滞が起こる 食欲不振・お腹の脹り・悪心・嘔吐・軟便や下痢・体の重だるさ・むくみなど |
辛 | 発散、発汗、代謝、血行を促進する | 肺 | 宣発作用を促進する | 気や津液を発散により消耗 倦怠感・疲れやすい・息切れ・声嗄れ・空咳・尿量減少・便秘・やる気が出ない・精神抑鬱など |
鹹 | 潤して固まりを砕く 潤して便通を改善 | 腎 | 主水作用を促進 | 湿濁が停滞して取水作用が失調 冷え・むくみ・骨や筋肉や血液などの損傷など |
不衛生なもの・腐敗したもの・黴びたもの・汚染されたもの・毒のあるものなどの摂取。