人体局所に停滞した異常な水液を痰飲(たんいん)といいます。
痰飲は、七情・飲食不節・労逸・内生の五邪・加齢・慢性疾患により、主に水液代謝に関連する肺・脾・腎・三焦の機能が失調することで形成されます。痰飲自体が二次的病因として瘀血など別の病の原因にもなります。
内生の五邪についてここでは省略し、別に詳しく説明します。
- 痰飲の分類
- 痰の分類
- 飲の分類
- 痰飲水湿の分類
分類 | 特徴 | 停滞部位 |
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痰 | 粘稠で混濁 | 臓腑・骨・筋腱・筋肉・皮膚 |
飲 | 比較的希薄 | 胸・脇・胃腸・皮膚 |
分類 | 特徴 | 停滞部位 | 症状 |
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有形の痰 | 目視できる | 肺 | 湿った咳・多量の痰・喘息・胸苦しさ・胸がすっきりしないなど |
無形の痰 | 目視できない | 臓腑・経絡・骨・筋腱・筋肉・皮膚 | 心に停滞:動悸・胸苦しさ・胸がすっきりしない・めまい・不眠・意識混濁・うわごと・錯乱など 胃に停滞:悪心・嘔吐・腹部膨満感など 経絡・四肢に停滞:中風・半身不随・四肢の麻痺など その他:のどの閉塞感・ヒステリー球・腫瘍・高血圧など |
分類 | 停滞部位 | 症状 |
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痰飲(たんいん)※ | 胃腸 | 胃がチャポチャポいう・腸がゴロゴロ鳴る・腹部膨満感・希薄な液体を嘔吐する・食欲不振・手足のむくみなど |
懸飲(けんいん) | 胸下 | 胸や脇が脹ってすっきりしない・咳をしたり唾を飲み込んだりすると胸や脇が引き攣れて痛むなど |
溢飲(いついん) | 皮膚 | 体が重く痛む・むくみ・痕がつきやすい・発汗しない・悪寒など |
支飲(しいん) | 胸・肺 | 咳・喘息・呼吸困難・横になると息ができない・無寝苦しい・のどがゼロゼロいう・希薄な痰がたくさん出るなど |
※ここでいう痰飲は狭義で、タイトルの痰飲とは異なります。
分類 | 特徴 | 症状 |
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湿 | 水蒸気のように広く霧散して形を成さない 多くは外湿が原因 | 発汗しにくいか発汗しても少量ですっきりしない・体が重だるい・頭や目がはっきりしないなど |
水 | 水のように希薄でサラサラした液体 外湿・水分の過剰摂取が原因 | むくみ・体が重だるい・体が重く傷む・頭や目がはっきりしない・眠気など |
飲 | 比較的希薄だが水湿より粘稠な液体 排泄物・浸出物・分泌物がネバネバで汚い | 発汗しにくい・悪寒・体の痛み・むくみ・食欲不振・腹部膨満感・胃がチャポチャポいう・腸がゴロゴロ鳴る・胸や脇が脹ってすっきりしない・咳をしたり唾を飲み込んだりすると胸や脇が引き攣れて痛む・喘息・呼吸困難・横になると息ができない・のどがゼロゼロいう・希薄な痰がたくさん出るなど |
痰 | 粘稠で混濁したヘドロのような液体 多くは症状が一定せず重篤 治療に時間がかかる 怪病多痰(かいびょうたたん):痰は奇病を引き起こすことが多い | 悪心・嘔吐・みぞおちの痞え・湿った咳・痰が多い・喘息・胸苦しい・動悸・精神混濁・自律神経失調症・神経症・うつ・認知症・てんかん・手足の麻痺・半身不随・中風・腫瘍・ヒステリー球など |
(掲載日:2019年11月22日 / 更新日:2019年11月20日)